当記事は、株式会社ハレックス様にて掲載されたマップル×ハレックス共同企画会議についての記事を、許可を得て転載させていただくものです。
(転載元:2024年1月9日掲載「マップル×ハレックス 共同企画会議 開発責任者同士のガチな企画会議を公開します! ~後編~)
「マップル×ハレックス 共同企画会議」とは、それぞれの開発責任者にご参加いただき、双方のサービスに関して今後の新しい開発の方向性やアイデアなどを、自由に意見交換して頂く会議です。
後編は、ハレックス開発責任者である馬目よりGIS向け次世代気象データAPI「HalexSmart!」の紹介と、「気象データ最前線」と題していくつかの話題を提供させて頂きました。
普段は全く違う分野で開発を担当しているお二人。お互いの商品や最新情報などの共有から、どんなアイデアが飛び出したのか、引き続き是非最後までお楽しみください。
<登壇者ご経歴> ※敬称略
◎ 吉橋 誠
株式会社マップル
企画開発本部 本部長
◎ 馬目 常善
株式会社ハレックス(https://www.halex.co.jp)
ビジネスソリューション事業部 事業部長
<目次>
前編 (詳細はこちら)
1.製品紹介 マップル「業務用カーナビ」
2.企画会議テーマ 「カーナビ最前線」
後編
1.製品紹介 ハレックス「HalexSmart!」
2.企画会議テーマ 「気象データ最前線」
1.製品紹介 ハレックス「HalexSmart!」
株式会社ハレックス ビジネスソリューション事業部 事業部長 馬目 常善
――それでは、ハレックス馬目さんから担当商品のご紹介をお願いできますか?
馬目:
はい。では私からは、「HalexSmart!」という製品のご紹介をさせていただきます。
HalexSmart!
馬目:
簡単に言うと、この商品は気象データをGISに取込みやすい状態で提供するAPIサービスです。特長はデータ提供方法にあります。気象データを提供する方法として、タイル形式による提供に加えて、GeoJSONによるデータ提供もしています。タイルによる情報については、一般的なXYZ方式で気象情報を受け渡し、メッシュ情報や警報注意報など、広く展開する情報の表示に適しています。一方のGeoJSONでは台風の経路図とか落雷のポイントなどの提供に適しています。
HalexSmart!で、GISに震源震度および推計震度分布を表示
馬目:
これは2023年の5月に北陸で大きい地震があったときのデータです。各地の震度情報は、日本全国に、4,400か所ぐらい設置されている震度観測点で観測された震度情報を出すんですが、震度5弱以上の地震については、震度観測点と震度観測点の間の地点がどれくらい揺れたのか、 250mメッシュの解像度でわかる推計震度分布図という情報もあります。例えば、大きな地震があった時の重要拠点の被害状況を確認する際には、一番強く揺れたところから順番に見ていこうといったように、効率的にチェックしていくべきだろうと。このような震度観測点の情報と推計震度分布図なども、お客様のGISに取り込見やすい形で展開することができます。
吉橋:
BCPですね。知らないデータとかいっぱいあって面白そうです。私が触らせていただいたのは高解像度降水ナウキャストでした。データの種類がたくさんあるなという印象をもっていますけども、弊社はラスタータイルの方の画像を利用させていただいています。GISで利用できるデータはいろいろありますが、簡単にカーナビで載せられないことが結構あります。HalexSmart!のように、共通フォーマットでデータを提供するってことが、しっくりと嚙み合った例なんだろうなって思っています。
馬目:
ありがとうございます。まさにそこが「HalexSmart!」の大きな特長の一つなんです。
吉橋:
裏話をすると、本当は別のことに使おうと思って作っていた機能だったのが、本当にたまたま御社からお話いただいて、あ、そんなのがあるんだったらちょっとやってみようってなり、今に至るみたいな。(笑)
もともとは透過機能も考えてなかったんですよ。でHalexSmart!のデータを実際に取り込んでみた時には、透過しないと地図が塗り潰されてしまい、ここがどこなのかが全く分からなくなっちゃったんですね。じゃあ、透過してみようかなって。結構開発者は文句を言いながらも楽しんでやっていたとおもいます。(笑)いろいろ触らせて頂いて気づきをいただけたのは、非常に面白かったなって思っています。
馬目:
それはこちらとしても嬉しいですね!
2.企画会議テーマ 「気象データ最前線」
――では続いて、企画会議です。馬目さんからの話題提供をお願いします。
馬目:
私からは、「気象データ最前線」と題しまして、私も三つほどご紹介させていただきます。まずは、雷の情報についてご紹介します。
(1)雷データ
馬目:
こちらは、半径200キロにおける24時間に発生した雷です。そして、赤と黄色の雷マークは対地放電と雲放電といいまして、こちらを合わせて発雷と読んでいます。対地放電の方はいわゆる落雷ですが、一方雲の方でピカピカ光っているのが雲放電っていう発雷で、これも意外と精密機器に悪影響を与えるんです。でそれを24時間でまとめて表示するとこんなにいっぱい落雷しているという一つの例です。
雷表示画面(LIDEN)
吉橋:
これは予報としても出てくるんですか。
馬目:
予報は残念ながら出ないですが、雷は1kmメッシュの粒度で、活動度を四段階に分けてデータ提供をやってるんです。十分間隔で60分先まで予測することができる。で、雷活動が3とか4以上になると、かなり発雷可能性が高いという。そういった情報を活用頂くことで、「はたらく車」の安全確保にもつながるのではないかと思います。
(2)気象過去データ
馬目:
続きまして二点目ですが、当社では、2012年から1kmの粒度で、気象データを一時間ごとに保存しておりまして、それを提供するAPI もあります。
吉橋:
例えば、ここは雪が降りやすい場所ですといった統計的な情報でしょうか。
馬目:
はい、過去の傾向などを統計的に分析するためにご利用いただけます。
吉橋:
なるほどですね。そういった統計情報とかあると、例えば太陽光パネルの設置事業者が土地を探すとき、雪が降ると、太陽光パネルを使えないので、雪が降りやすいとか降りにくいとか、雨が降りやすいとか降りにくいとか、晴の度合いが多いとか、設置する場所の選定基準に一つ使えるんじゃないのかなと思いました。
馬目:
いいですね。実はそういったデータを作ることは比較的簡単です。この緯度と経度で対象ポイントを指定しまして、今年の1月1日から半年分ぐらいで、雨がどのぐらい降ったのかという情報は、本当に瞬時にデータを表示することができます。
ハレックス「気象過去データ抽出ツール」によるデータ表示
吉橋:
過去のデータを分析し、それをもとに降りやすいか降りにくいかという、そういう評価をしなきゃいけないのがポイントなんでしょうね。
馬目:
そうですね。先立っても、とあるお客様で、イベント期間中の雨の対策設備を用意すべきか迷っているということで、お問い合わせいただきました。2週間後の予測というのは、もう当たるものではないので、十年間の統計で、その期間であれば、このエリアはほとんど雨が降りませんでしたという集計結果でお客様とお話をさせていただいたっていうケースがありました。
吉橋:
当社でもそういったお問い合わせがあります。「MAPPLE法務局地図ビューア」というサービスを提供してまして、例えばどこの土地を買えばいいのかなっていうのを地図上で探しているようですが、そこの土地は日当たりどうなのかとか、雪は降りやすいのか降りにくいのか、そんなデータの提供が可能だったら、活用できるなって思いました。
馬目:
おっしゃる通りだと思います。緯度と経度と、それから期間の情報を入力すると、このような形でデータが返ってくるんですけど、この情報を用いて比較的降る、降らないっていうのをうまく導きだせるツールがあれば。例えば、相対的に表示できるとわかり易いかもしれませんね。A市とB市 で、天気情報としては同じなのか、B市の方が気象的には条件がいいとか。あとは、晴れの確率何パーセントかも良いかもしれません。
吉橋:
気象に詳しくない人が使うわけだから、分かりやすい比較の方がいいかもしれないですね。
(3)ベクタータイル形式の気象データ
馬目:
それでは最後に、ベクタータイル形式の気象データについてご紹介します。ベクタータイルはメッシュの中にデータを内包していますので、地図ライブラリとの連携の仕方によっては、降っている雨を3Dで表現することも可能です。
高解像度降水ナウキャストデータを3D表示させた例
吉橋:
アニメーションとかもできそうですね。
馬目:
あとはヒートマップとか、そういう境界線をぼやかした表示なんかもできますね。これはGISのライブラリを使っているので、開発するというよりもそのライブラリを利用するっていうだけで表示できます。
吉橋:
なるほど。気象データと一言で言っても、その特徴や扱い方から、地図での表示まで、いろいろとあるんですね。大変面白い話をありがとうございました。
3.会議を終えて
――それでは企画会議はここまでとします。お二人とも初めての今回の企画はいかがでしたか?
吉橋:
今日は自由にいろいろ話させてもらいました。こんなの僕は初めてやるものですが、是非新しい取り組みとして、世の中の他の会社さんにも伝わって、ビジネスとして何か出来上がるといいなと思います。
馬目:
今日、いろいろお話聞かせていただいて、大変有意義な時間でした。あと吉橋さんの声が素敵なんで、次回は動画でご登場お願いできればと思います。
吉橋:
そんなつもりは全くないです(笑)。
~後編~ 編集後記
両社にとりまして、共同企画会議は初めての試みでしたが、中にはここではご紹介できないアイデアなどもあり、大変に盛り上がりました。普段担当している製品は全く違えども同じ開発者同士が会話をするだけで、お互いに目からウロコな、ユニークなアイデアや気づきを得ていただく機会になりました。是非、次の機会にもご期待ください。
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