コラム

地図の雑学|鹿児島交通跡(鹿児島県)~筆から鉄路の姿が浮かび上がる~

MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。

◆No.5 鹿児島交通跡(鹿児島県)~筆から鉄路の姿が浮かび上がる~

鹿児島県枕崎市はカツオの町として知られており、枕崎市で生産される鰹節は全国の約5割を占め、日本一の産地になっています。また、枕崎駅は本土最南端の始発・終着駅でも知られており、多くの鉄道ファンが訪れています。

この場所をMAPPLE法務局地図ビューアで見てみる

JR指宿枕崎線の始発・終着駅となっている枕崎駅は、今でこそ本土最南端の始発・終着駅になっていますが、その昔、枕崎駅から加世田(南さつま市)を経由して日置市にある伊集院駅を結んでいた鹿児島交通枕崎線という鉄道が走っていました。1974年から1978年に撮影された空中写真を確認すると、枕崎駅より北に向かって鉄路が延びているのが分かります。

地元では南薩線と呼ばれ親しまれていました。南薩線は枕崎から様々な物資や人々を運ぶ重要な交通手段として活躍しましたが、モータリゼーションの急速な進展や沿線人口の減少、鉄道設備の老朽化などにより廃線が検討されることに。最終的には豪雨による一部区間が不通になる被害を受けたことにより1984年(昭和59年)に廃止されました。

地図で枕崎駅周辺の筆(土地)を確認して見ると、終着駅であるはずの枕崎駅より先に鉄路が伸びているかのような細長い筆(土地)が続いていることが分かります。古い空中写真と比べて見ると鹿児島交通枕崎線が走っていた場所と一致しています。鹿児島交通枕崎線は無くなりましたが、筆(土地)には鉄道の痕跡が残っています。

出典:
国土地理院ウェブサイト「地理院地図(電子国土Web)データ」(国土地理院)をもとに作成
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成

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「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
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