コラム

マップル×ハレックス 共同企画会議 開発責任者同士のガチな企画会議を公開します! ~前編~

当記事は、株式会社ハレックス様にて掲載されたマップル×ハレックス共同企画会議についての記事を、許可を得て転載させていただくものです。
(転載元:2023年12月22日掲載「マップル×ハレックス 共同企画会議 開発責任者同士のガチな企画会議を公開します! ~前編~)

「マップル×ハレックス 共同企画会議」とは、それぞれの開発責任者にご参加いただき、双方のサービスに関して今後の新しい開発の方向性やアイデアなどを、自由に意見交換して頂く会議です。
前編では、マップル開発責任者である吉橋誠氏からの製品紹介と、「カーナビ最前線」のお話を元に、企画会議を進めていきました。
普段は全く違う分野で開発を担当しているお二人。お互いの商品や最新情報などの共有から、どんなアイデアが飛び出したのか、是非最後までお楽しみください。

<登壇者ご経歴> ※敬称略
◎ 吉橋 誠
株式会社マップル
企画開発本部 本部長

◎ 馬目 常善
株式会社ハレックス(https://www.halex.co.jp)
ビジネスソリューション事業部 事業部長

<目次>
1.製品紹介 マップル「業務用カーナビ」
2.企画会議テーマ 「カーナビ最前線」

1.製品紹介 マップル「業務用カーナビ」

――それでは、共同企画会議を始めていきましょう。まずはマップル吉橋さんから担当製品のご紹介をお願いします。

株式会社マップル 企画開発本部 本部長 吉橋 誠様

吉橋: 
私からは、「業務用カーナビSDK」をご紹介します。カーナビって、すでにどんな車にもついていて当たり前っていう状況です。一方で、業務で使う車では、まだまだカーナビは付いてなくて、そういった業務車両にも、便利なカーナビがあるといいよね!ということで作ったものです。

業務用カーナビSDKは、いかに業務のシステムと連携するかに主眼を置いています。業務に合わせたオリジナルのカーナビを開発できるSDKで提供しています。エンドユーザー様としては警察や消防などの緊急車両、電気水道ガス、電話、道路などインフラの点検車両、ゴミの収集車、バスとかタクシーなど、いわゆる「はたらく車」でのご利用ケースが多いですね。
例えば、高速バス用のカーナビ。これはすべてのバス停、コースを案内するようになっていて、バスに特化したカーナビゲーションとして運用されています。

馬目:
バスでカーナビって全然イメージなかったですね。完全にバスの運転手さんがいつも把握されているものだと思っていましたので。

吉橋:
バス事業者は、営業届出をした以外の道路を走ると問題になるので、そういった問題を未然に防止するシステムになりますね。

馬目:
緊急車両はどういった用途になるんですか?

吉橋:
例えば、緊急通報が入ると現場に急行しないといけません。急行する現場などはシステムで自動で設定しますので、うっかり間違えることを防ぎます。また、現場に向かうには地図で確認しながらというのは必要ですし、ベテランではない方は、込み入った道だとわからないことがある為カーナビでの案内が必要になります。あと、災害発生時に、周囲の地域から応援で来たりするケースでは、そもそもまったく知らない場所に行く可能性があります。そのようなケースにもカーナビでの案内は役立ちます。

あと、緊急車両が今どこにいるのかを把握したり誘導したりするために車両GPSのように使うというのが業務用カーナビSDKの使われ方なんです。

2.企画会議テーマ 「カーナビ最前線」

――では続いて、ここからはいよいよ企画会議ですね。そのまま吉橋さんからの話題提供をお願いします。あとはフリーディスカッションで行きましょう。

吉橋:
はい。私のお題は「カーナビ最前線」としまして、3つほどご紹介させて頂きますね。

(1)決められた道順を再現して案内を行う

吉橋:
まず一つ目です。業務用カーナビゲーションならではの機能として、「決められた道順を再現して案内を行う」機能を持っています。想像つきますか?

カーナビゲーションは、スタートがあってゴールがあって、その間のルートをどう走行するか、道順はカーナビ任せです。なるべく近い道とか、高速優先か一般道優先かのような選択はありますけど、その間どう行くかはカーナビゲーションが決めるのが普通です。ですが業務で使う車はどのように走行するかルートが決まっていることがあります。業務用カーナビSDKは、どのように走行したいかという道順の情報を与えると、その通り誘導することができるという機能を持っています。

用途ですが、例えばゴミの収集車は、近いところを走るわけではなくて、決められた道順でゴミを収集して回りますというような、ルートがあるわけです。そのルートをカーナビで案内する機能なのです。特にコロナ禍の時は急にドライバーさんがコロナに感染してお休みになっても、ゴミは収集しないわけにはいきません。そこに行ったことないのでルートがわからない初見の運転手さんでも行かなければならない。しかしながら、慣れていないとなかなか難しい。で、それがカーナビゲーションでルートが表示され、さらにゴミの収集場所も表示され、間違いなくその通り走れるわけです。そうするとピンチヒッターのドライバーさんも全然安心感が違うでしょうとなるわけです。

最短距離ではなく決められた道順をナビゲーションする

馬目:
BCPですね。その順路を設定するのは、利用者様側でも簡単にできるんですか

吉橋:
それがですね。今まで業務用カーナビSDKはSIベンダー側でルートを設定していましたので利用者様側では簡単にできませんでした。しかしながら利用者様側でも気軽にルートを設定できる「Mappleルートナビゲーター」という商品を作りました。ルートナビゲーターでは簡単に順路を設定するために二通りのルートの登録方法を作っています。一つが実際に走ったルートを記憶するのを記録して後で再現する。そしてもう一つが、作成したファイルをパソコンで使う電子地図・GISソフト「スーパーマップル・デジタル」で編集できるようにしました。

馬目:
なるほど、機能をより便利に使うための新しいオプション商品を開発するということですね。

(2)道路を作成できる

吉橋:
つづいて、二番目の機能を紹介します。
オプション商品ですが、「道路を作成できる」機能を持っています。普通のカーナビって、本当はここに道路があるんだけど、自分で道路を追加することは出来ないじゃないですか。業務用カーナビでは、そこに自分で道を作るってことができるツールを用意しています。目的は、例えば工場の敷地とかカーナビで道路がないところで利用いただくものですね。

大きな敷地内、カーナビの道路がないところでもルートが引け、案内もできるようになります。これは今のところ多分マップルだけですね。

道路のない飛行場の滑走路上でもナビゲーションができる

馬目:
それはすごいですね!

吉橋:
例えば空港の敷地内って車がいっぱい走っていて、走る道も決まってるのに、そういったカーナビは見たこともないです。あったら便利だと思いまして、そういったところで使えないかなっていうところを考えています。

馬目:
面白いですね。広いところで何もないところだけど、実は、通ってほしい道を設定できるってことですよね。

専用ツールで飛行場に道路を追加設定する

吉橋:
はい。空港とかだとちゃんと車線が書いてあると思うんですけど、雪が降るとわからなくなっちゃうじゃないですか。それでもこういう案内があると、ある程度の行き方はわかります。注意をしなければいけないところでドライバーに注意を促すこともできます。

(3)気象状況をカーナビ地図で表示する

吉橋:
三番目は、お待たせしました。気象データの取り込みです(笑)。
まだ開発中ですが、XYZ形式の情報を重ね合わせ、表示ができるようにしています。御社の気象データをこんな感じで組み合わせて見ることができます。

カーナビ画面に気象データ(雷ナウキャスト)を表示した例

馬目:
待ってました(笑)。これまで車でカーナビで見ながらスマホで天気をチェックしていたのが、これ一つで見られるようになりますね。カーナビに気象情報を載せようという話は、あったんでしょうか。

吉橋:
実は、これまでこのような気象情報を表示することは全く考えてなかったんですよね。もともとはカーナビの中に住宅地図や航空写真を表示するっていう目的のために作っていた機能です。

馬目:
そうなんですね。住宅地図となると、先ほどゴミ収集車のお話があったんですけれども、他にもニーズはあるもんなんでしょうか。

吉橋:
インフラ設備点検などもそうですね。で、インフラ設備点検作業においてはDX化がどんどん試されていまして、それこそ道路にある設備も、一個一個、行って止まって確認してじゃなくて、車が走りながらカメラで撮影して確認するようになってきました。では、その設備をどういうルートで点検するか。今までなら助手席に人が乗って「ここを右、ここを左」などと言ってたのが、業務用カーナビSDKでシステムを開発して解決できますね。

馬目:
なるほど、確かにかなり需要がありそうですね。

吉橋:
だから、車でのインフラ設備点検って2人1組だったのが、点検するのが人の目から機械に代わり、案内するのも人の手から機械に代わって人材不足を解消の助けになると期待されています。

馬目:
インフラ設備点検っていう話であれば、電柱や空調の工事する人とか、インフラの関係で屋上に上がって作業する方がいるとすると、一番怖いのは雷ですね。だから、点検作業ルートを表示しつつ、雷が発生した場合には、上手にそこを回避したルートを案内してくれるっていうような業務連携ができると作業員の安全確保ができそうですね。

吉橋:
先読みをするんですね。

馬目:
結局、一般的には西から東に日本の天気は動くことが比較的多いんですよね。だから、雨雲の動きもある程度予測ができる中で、例えばカーナビで「5分後に強い雨に遭遇する可能性があるので注意して走行してください」っていう案内があるだけで、運転手の方の安全対策の一環ということに寄与できるカーナビみたいなものがあったら、その元となる気象データを提供している気象情報提供会社としても嬉しいです。

吉橋:
そうですね。それは面白いな。ある時間に出発するルートを引いた時に、ルート上の天気がどういう天気に変わっていくかっていうのを一緒に見られるようになると、よいかもしれないですね。長距離トラックとか、目的地までの途中でも、この辺で雨が降るんだったら、じゃあ一回ここで休憩入れようとなるかもしれないですね。

もっとアイデアがいろいろ出てくるような気がしますね。今の三点が業務用カーナビSDKの推せる機能という感じです。

馬目:
なるほどですね。業務用カーナビのニーズは、その業務により多種多様ですね。大変勉強になりました。あと、気象情報とカーナビという観点では、一般車のカーナビよりもむしろ業務用のカーナビにご活用いただける可能性があるということも良くわかりました。

(後編へ続く)


~前編~ 編集後記

 今回は「業務用カーナビ」についてのお話を伺いました。「カーナビ」といえば、普段車で使っている一般用のものを思い浮かべていましたが、「業務用カーナビ」はその業務に特化して様々な進化を遂げていることが良くわかりました。このお話の裏側には、お客様と向き合いながら、新しいアイデアを発想し、新機能を開発してはやり直すといった、たくさんの苦労話もおありだったと思います。「必要は発明の母」ですね。

 さて後編では、ハレックスの開発責任者が気象情報を地図に表現する方法などについて語ります。お楽しみに。


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