MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。
◆No.73 京戸川扇状地(山梨県)~筆と地図で解き明かす「扇状地」の姿~
甲州市と笛吹市には、京戸川扇状地と呼ばれる自然地形が広がっています。この地形は、河川が狭い山間地から平坦地に出た時に流れが弱まり、運ばれてきた土砂が下流で扇形に広がって堆積することで形成される、いわゆる扇状地です。
京戸川扇状地
京戸川扇状地は、蜂城山付近を扇頂に、国道20号に向かって扇形に広がっています。この扇状地は、古代より人々の生活の場として利用されており、数多くの遺跡が確認されています。なかでも、中央自動車道の建設に伴い発見された釈迦堂遺跡は、縄文時代を中心とした集落跡であり、この地域の長い歴史を物語る貴重な遺跡です。
筆(土地)をいくつかの資料と組み合わせて見ることで、扇状地の特徴をより明確に捉えることができます。京戸川扇状地の筆(土地)を段彩図に重ねて見ると、扇の要にあたる位置は標高が高く、赤色で表示されます。そこから扇状地が広がるにつれて標高が低くなり、青色へとグラデーションが変化していく様子が示されています。
京戸川扇状地の段彩図(右図:白部が扇状地)
傾斜量図は、黒い部分が急峻な地形、白い部分は緩やかな地形を示します。京戸川扇状地周辺の山間部と扇状地では、傾斜に明確な違いがあることがわかります。筆(土地)データと重ね合わせると、扇状地では筆(土地)が細かく設定されていることがわかります。
京戸川扇状地の傾斜量図
次に、空中写真と地形図を用いて、土地利用について見ることにします。空中写真では、扇状地に家屋や畑が点在している様子が確認できます。これらの土地には、それぞれ筆(土地)が設定されています。
京戸川扇状地の空中写真
地形図でそれぞれの筆(土地)を確認すると、多くの部分が果樹園として利用されていることが見て取れます。このように、空中写真や地形図と合わせて読み解くことで扇状地の筆(土地)の土地利用の姿を捉えることができます。
京戸川扇状地の地形図
扇状地は水はけが良く、地下を流れる伏流水もあるため、果樹などの土地の特性を生かした作物の栽培が盛んです。笛吹市一宮地域では、4月になると桃の花が一斉に咲き誇り、まるで桃源郷のような美しい風景が広がります。また、甲州市勝沼地域ではブドウの栽培が盛んで、ワインの一大生産地になっています。
出典:
国土地理院ウェブサイト「地理院地図(電子国土Web)データ」(国土地理院)をもとに加工して作成
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成
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