登山者におなじみ、株式会社昭文社が出版する『山と高原地図』の情報を、ガーミンジャパン株式会社のスマートウォッチで使うことができます。
本コラムでは、長年『山と高原地図』を愛用し、地図制作にも携わってきた担当者が、『山と高原地図』と『ガーミン』両者を山で利用するときの魅力について紹介します。
目次
● 登山には欠かせない!「山と高原地図」の紹介
● GPS機器のパイオニア!「ガーミン」の紹介
登山には欠かせない!「山と高原地図」の紹介
山と高原地図は株式会社昭文社が出版する地図で、60年もの長い間親しまれている登山者の”バイブル”です。筆者も学生時代から愛用しており、”山地図”好きが高じて、昭文社に入社したほどです。
登山地図の定番『山と高原地図』の魅力①:俯瞰性
一番の魅力はその俯瞰性にあります。見開き1枚の地図の中に、ぎっしり登山ルートが描かれており、どの登山口から入り、どこで宿泊して、どこへ下山するか、全体像を把握しながら登山計画を立てるのにうってつけです。
実際に山に行く予定がない時でも、地図で歩いたことのある沢筋を目で追って、当時の記憶に浸ったり、歩いたことのない稜線を指で辿って、将来のプランを練ったりと、見飽きることがありません。
登山地図の定番『山と高原地図』の魅力②:情報量
学生時代は仲間内では”エアリア”と呼んで親しんでおり、山に行くたびに本棚に地図が増えていくのが嬉しくもありました。最近では、地図制作に携わるという役得から、筆者はすべての商品が見放題なのですが、昔に比べて見た目も美しく洗練されており、情報量も格段に増えています。
地図の更新は、それぞれの山域に精通した山のプロが現地調査で集めた情報をもとにしており、信頼性は抜群です。
登山地図の定番『山と高原地図』の魅力③:更新性
低山登山の人気を受けて、地図ラインナップも増えています。
2022年夏には、特別版として『筑波山・加波山 高鈴山・奥久慈男体山』『三浦・房総』が販売され、その後、2024年には装いも新たに正式にラインアップに追加されました。2024年現在、商品ラインナップは全63点となっています。
奥久慈男体山は、筆者が高校山岳部で登ったことのある山でもあり、新しい地図が出たのであれば、再訪しなければなりませんね。
GPS機器のパイオニア!「ガーミン」の紹介
ガーミンは、1989年に設立されたアメリカのGPS/GNSS機器メーカーで、高精度なスマートウォッチを提供しています。航空業界にて最先端のGPSナビゲーション製品をリリースしたのを皮切りに、製品ラインナップを拡大し、今日では、航空、海洋、自動車、アウトドア、およびフィットネス市場におけるトップブランドとして知られています。
登山時のスマートウォッチの魅力①:アクセシビリティ
● 腕時計にすべての情報が詰まっている点がスマートウォッチの魅力です。ザックの雨蓋から地図を取り出したり、ポケットからスマートフォンを取り出したりする必要がなく、ハンズフリーで視線を手首に向けるだけで情報が得られます。
● 特に雨の日は、濡れるのが嫌なので、ザックからの物を出すのが億劫ですし、スマートフォンを頻繁に取り出しているとうっかり落としてしまうこともあります。
● 筆者も2度ほど山の上で携帯電話を落としたことがあります。一度目は夏の槍ヶ岳で、親切な方が拾って届けてくださりましたが、二度目は積雪期の巻機山で、そのまま今でも行方不明です(見つけた方は、ぜひご一報を)。
● スマートウォッチは常に身に着けておくものなので、なくなる心配はありません。
※猛烈なやぶ漕ぎで靴ひもをなくしたり、眼鏡をなくした山仲間がいますので絶対とは言い切れませんが、まず大丈夫でしょう。
情報が手元にあってすぐアクセスできる。なおかつ、なくす心配がない。それがスマートウォッチです。
登山時のスマートウォッチの魅力②:バッテリー性能
● ガーミンのスマートウォッチのもう一つの魅力は長時間稼働するバッテリーです。山の上は、通信環境が悪いことが多く、標高が上がるにつれて低温になるため、バッテリーの消耗が激しいです。スマートフォンだとバッテリー切れが心配なためフライトモードに設定したり、肝心なときに通信手段として使えなくなってしまっては困るので、モバイルバッテリーを持参する人も多いようです。
● ガーミンのスマートウォッチは、バッテリーの持ちが素晴らしいです。ソーラー充電対応機種の中には、GPSモードでも約122時間稼働するものもあります。2泊3日くらいの縦走であっても全く心配いりません。
● バッテリーが切れた電子機器は、荷物にしかなりません。山登りの際は、バッテリー性能に徹底的にこだわることが重要です。
登山時のスマートウォッチの魅力③:機能性
● 現在地が一目で分かる。スマートウォッチの一番の利点はここにあります。山岳遭難の原因のトップは道迷いと言われており、安全に登山をするためにも現在地を把握しておくことは欠かせません。ひと昔前であれば(著者が所属していた団体では)、地形図と実際の地形とを見比べて、「現在地はここだ」、「いや、こっちだ」と読図能力を競い合うこともありましたが、スマートウォッチがあれば今では、一目瞭然で誰でも現在地を把握できます。
● 地図好きの筆者としては、読図の楽しさを否定する気はありませんが、安全を考えて現在地を簡単に把握できるデバイスを山に持参するのは最早当たり前となっています。
ノウハウが蓄積された「山と高原地図」と、先進的で機能性に優れる「ガーミン」が出会ったらどうなるか。
次回のコラムでは、筆者が実際に山の上でガーミン製品を使ってみて、そのとき感じた結果についてレビューします。
※ガーミン製品で、山と高原地図のデータをご利用頂くには、地図データのダウンロードが必要です。
対応機種はこちらです >日本登山地形図 TOPO10M Plus(ダウンロード版)の対応商品(外部サイト)
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