コラム

地図の雑学|渋谷川(東京都)~筆から姿の見えない渋谷の河川を辿る~

MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。

◆No.14 渋谷川(東京都)~筆から姿の見えない渋谷の河川を辿る~

東京都渋谷区にある JR 渋谷駅の周辺は、再開発が進み日々その姿を変えています。再開発が進む渋谷の景色からは想像することはできませんが、実は渋谷の地下には渋谷川という川が流れています。東京にはこのような暗渠(あんきょ)と呼ばれる地下を流れる川や水路が各所に存在しています。

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現在、渋谷駅前の風景からはその存在を確認することは難しいですが、筆(土地)からはその痕跡を確認することができます。渋谷駅周辺の筆(土地)を見てみると不自然に細長い筆(土地)(赤い線の部分)が存在しています。

その筆(土地)の先を辿って行くと明治神宮外苑や新宿御苑に辿り着きます。渋谷川は新宿御苑にその源流があるとされており、細長い筆(土地)が渋谷川の流れと、ほぼ合致していると考えられます。新宿御苑は江戸時代に内藤家の大名屋敷があった場所で、明治時代には皇室庭園として、その後は公園として一般公開されています。

新宿御苑に源を発する渋谷川にはいくつもの支流があります。その中の一つ宇田川のさらに支流である河骨川は童謡「春の小川」の舞台にもなったと言われています。その歌詞から渋谷駅周辺には長閑な農村の風景が広がっていたと考えられます。

現在の渋谷の風景からは想像もできませんが、それもそのはず。渋谷川の支流は水害対策や下水道整備、宅地化によって埋立てや暗渠化が進められました。渋谷川も同様に流路の一部が暗渠化されることになり、渋谷駅の前からその姿を消すことになりました。
渋谷駅の前より上流部分は暗渠になり、地下を流れることになった渋谷川ですが、川の流れは筆(土地)の形状が教えてくれます。

出典:「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成

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「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
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