コラム

地図の雑学|石狩川・雨竜川(北海道)~筆から原始河川の流路が見えてくる~

MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。

◆No.13 石狩川・雨竜川(北海道)~筆から原始河川の流路が見えてくる~

北海道の最大の河川である石狩川。その名前の由来は「イ・シカラ・ペツ」アイヌ語で非常に曲がりくねった川を意味しています。低平湿地を流れる河川は縦横に蛇行し、たびたび氾濫を起こしながら、河道は常に変化をしていました。

この場所をMAPPLE法務局地図ビューアで見てみる

明治時代、北海道の開拓が本格的に始まろうとしていた時期には大洪水を起こすなど、開拓に大きな影響を与えました。そこで、洪水対策として治水事業が計画され蛇行する川の直線化などが進められてきました。

地図で石狩川や雨竜川などの流域を見ると、三日月状に区切られた筆(土地)を確認することができます。この三日月状の筆(土地)は、古い地形図と比較すると原始河川の流路と一致しています。山地に発した河川が、広大でなだらかな沖積平野や三角州を流れて海へ注ぐ過程で、河川のカーブ部分は長い年月で徐々に膨らみ、輪を描くように河道が変化していきます。

その後、自ら流路を短い河道に変える自然短絡や、洪水対策や農地造成のための河川改修が行われ、膨らんだ河川部分は三日月型をした河跡湖や農地などに姿を変えていきました。石狩川や雨竜川で見られる三日月状の筆(土地)は、流路の変化を知ることができる貴重な資料とも言えます。

出典:
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成
明治 30 年製版同 42 年部分修正測図同 44 年改版 5 万分の 1「妹背牛」
陸地測量部

「地図の雑学」
「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
> これまでの記事一覧はこちら

COLUMN一覧へ