マップルでは地図を活用したさまざまな製品やサービスを提供していますが、中でもカーナビ関連製品は、2008年に「マップルナビ」として産声を上げてから、これまで長年にわたって大変多くの方にご利用いただいているマップルを代表する製品群の一つとなっています。近年では、ECの普及拡大による物流量の増加や、ITリテラシーの急速な高まりといった社会情勢の変化に伴い、運送・配送業務や営業用車両などの“働くクルマ”で、より高度なカーナビの活用が進んでいます。
マップルのカーナビも一般乗用車向けだけでなく、働くクルマ向けの「業務用カーナビ」(※1)の分野でも活用が広がり、今では官公庁をはじめ多くの企業や団体の配送業務の効率化と安心・安全な運行のバックアップに貢献(※2)しています。マップルの業務用カーナビには独自に開発したルートエンジン「ルート探索モジュール」が搭載されており、これによって複数拠点を効率的に訪問するルートを自動生成したり、安心・安全な道路を指定したルートが表示出来るなど、マップルならではの利便性が大変高い評価をいただいています。
今回のコラムでは、そのような業務用カーナビ製品を支えるルートエンジン「ルート探索モジュール」にフォーカスし、マップルの業務用カーナビの魅力をお伝えしていきたいと思います。
※1…マップルの法人向けカーナビ関連製品 https://mapple.com/car-navigation/
※2…業務用カーナビの導入事例 https://mapple.com/casestudy/
ルート探索とはどういうものか?
ルート探索モジュールについてお話しする前に、そもそも「ルート探索」についてご案内します。カーナビの画面上で「ルート探索」という表示を見たことがある人も多いと思いますが、ルート探索とは、ある地点からある地点まで車で走行するのに最適な道順を計算することを言います。ルート探索の計算結果では、走行経路として地図上に通過する道を示す線情報や通過する交差点の情報、距離や時間などを取得することができます。まさに皆さんが日頃から使われているカーナビの検索結果に表示される内容です。
このルート探索機能をまとめたものが、マップルの「ルート探索モジュール」です。他の機能と組み合わせてより便利にお使いいただける、いわゆる部品のようなものです。 これによって、規制情報を回避したルートや複数の拠点を巡回するルートを生成するなど、出発地と目的地を結ぶルートを様々な条件で探索して表示することが出来るようになります。
「ルート探索モジュール」ができるまで
昭文社グループのカーナビ製品の歴史は、コンシューマー向けのカーナビ製品「マップルナビ」の開発から始まりました。マップルでは道路地図帳で圧倒的なシェア誇る地図制作のノウハウを生かし、20年以上前からデジタル地図データを提供していました。その後、カーナビの需要拡大に対応すべく、2006年にはカーナビ専門の子会社を設立し、自社でカーナビアプリのソフトウェア開発と提供をスタート。PND(Portable Navigation Divice)や据え付け型カーナビとして約15年にわたって開発販売を行っており、自動車メーカーの純正カーナビにも採用されています。
こうしてコンシューマー向けとしてスタートした「マップルナビ」を展開する中で、お客様から「働くクルマ向けに特化したナビを作れないか?」というご相談を多くいただいたことから、業務用車両に特化したカーナビシステム開発キット「業務用カーナビSDK」(※)の提供がスタート。現在ではトラックやバス、タクシー、ゴミ収集車など、まさに“働くクルマ”向けへの展開を加速させています。
一般コンシューマー向けと異なり、配送や輸送業務では、お客様ごとにさまざまな業務形態があり、カーナビにおいてもそのようなお客様の業務内容に合わせたカスタマイズが必要になるケースが多々あります。マップルの「業務用カーナビSDK」では、豊富に用意されているAPIによってお客様の利用実態に合わせたカーナビ開発が容易に実現できるため、業務用車両を運行する団体・企業様の業務システムと連動させたカーナビシステムとして利用されています。その一方で、「カーナビのルート機能だけを利用したい」「自社システムにルート探索を入れたい」といった「ルートエンジン」部分のみを利用したいというご要望をいただくことも多く、こうしたご要望にマッチした新製品として、カーナビの一部のプログラムとデータのみを利用できる「ルート探索モジュール」が誕生しました。
※業務用カーナビSDK https://mapple.com/products/system-biznavi/
ノウハウがつまった「ルート探索モジュール」
マップルのルート探索モジュールには、これまでの商品開発で培った知見やノウハウ、お客様のご要望に基づいた機能がふんだんに盛り込まれています。例えば、カーナビを利用する際に最も重要なポイントになる「探索処理のスピード」や「探索結果ルートの質」はもちろん、実車での走行テストによるルートの妥当性など、実際に使われる利用者目線で様々なケースを考慮したテストを重ねて、アルゴリズムを改良し続けています。こうして生まれた「ルート探索モジュール」の活躍シーンを機能別にご紹介します。
安心・安全な運行をバックアップする「回避エリア探索機能」
「この場所は人通りが多い、この付近の道は細くて通りにくいから避けたい」
一般的なルート探索では主に最短ルートが表示されるため、細かな要望にはなかなか応えてくれません。マップルのルート探索モジュールなら、このような周辺環境への配慮を含め、あらかじめ「回避したい箇所」を設定することで、そのエリアを回避したルート探索を行うことができます。これによってお客様にあった独自のルートを生成することができます。
配送業務を効率化する「巡回ルート探索機能」
「日常業務で複数の地点を効率よく回りたい」
日頃から配送事業者様や介護事業者様からのご要望で最も多いのが、効率的な巡回ルートの探索です。マップルのルート探索モジュールに搭載されている「巡回ルート探索」であれば、複数の地点間を効率的に回るルートが自動的に生成されます。もちろん大型車規制考慮、回避エリアなども設定できるのでお客様の業務車両や業務実態に即した最適ルートを提案します。
より安心安全を意識した「左付けルート探索機能」
「荷下ろし場所を考慮したルートにしたい」
探索時に設定することで、経由地を含む目的地を左付けを優先に探索します。たとえば、物流等でセンターから各納品先を回るルートの場合、左付け機能を利用することで荷下ろしを考慮したルート探索ができ、スムーズに配送先を回ることができます。タクシー等の旅客輸送業でも有効な機能です。
地点間の距離を使ったルート探索機能
「A地点から近い施設の情報を知りたい」
施設の地点情報があれば、ルート探索モジュールを使って近傍の施設を距離順に並べて、それぞれへの所要時間も付与してリスト化することもできます。※車ルートでの探索距離順となります。
過去の走行軌跡を基にしたルートを作成
「以前走ったルートを再現したい」
一般的にカーナビでは、その都度新しくルートを生成して表示しますが、マップルのルート探索モジュールでは、GPSなどから作成した走行軌跡から形状点のルート探索を実行することができます。訪問介護やルート営業など、日頃から決まったコースでルート探索を実行したい時などに便利な機能です。
これからもお客様のニーズに寄り添った製品づくりを
マップルでは全ての製品、サービス開発において、利用者目線での製品開発を心がけています。今回ご紹介したルート探索モジュールでも、多種多様な業務で使われる“働くクルマ”がどのような使われ方をするのか、どのような環境で使われるのかを徹底的に分析した製品となっています。機能だけでなく、提供方法も組込み型とweb利用(WebAPI)型の2パターンご用意しており、お客様の環境に合わせて選択可能。
また、マップルの新領域や注力分野のサービスを体験できる『マップルラボ』にてルート探索機能の一部をお試しいただけます。まずは実際の探索機能を体験してみてください。
マップルラボ
「MAPPLEのルート探索」
https://labs.mapple.com/mappleroute.html
用途や目的に合わせての活用方法提案も可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
これからもお客様のご要望をもとに、より使いやすい探索エンジンの提供を目指してまいります。
マップルの法人向けルート探索エンジン
自動車ルート探索プログラム「ルート探索モジュール」
組み込みアプリやオンプレサーバでご利用いただけます。
法人向け地図API「MappleAPI」
インターネット環境でご利用いただけます。