COLUMN

最新のAI技術を活用して売上を高精度に予測し、飲食・小売事業者様を支援。

マップルでは、さまざまな新しいテクノロジーを活用し、社会課題の解決を実践しています。コロナ禍において甚大な影響が出ている飲食・小売事業者様を支援するため、2020年9月から最新のAI技術を活用して売上を高精度に予測する新サービス「売上予測AIモデリングサービス」をスタートさせました。今回はこの新サービスを活用した現在の取り組みと将来構想について、当社事業開発部長の能登屋 翔平に話を聞きました。

 目次 
サービス概要
ご活用いただきたいシーン
高精度な予測を実現するには
今後の展望
最後に


サービス概要
●初めに本サービスの概要を教えてもらえますか。
売上予測AIモデリングサービス」(以下、本サービス)は、最先端のAI技術を用いて新規出店候補物件の売上を高精度に予測するマップルの新サービスです。「売上」、「店舗面積」、「席数」、「立地タイプ」、「商圏情報」、「競合店情報」などの企業様がお持ちの既存店舗情報をAIに投入し、売上と関連性の高い因子(特徴量と呼んでいます)を分析することで、企業様の業態に即した予測モデルを作成、いつでもお手元で高精度な予測を実施いただけるシミュレータとしてご提供するものです。これによって出店計画の段階で候補物件の売上規模を極めて高い精度で予測することが出来るようになります。
多店舗展開されている企業様にとって、新規出店に掛かるコストや人件費は莫大になります。そのため『失敗しない出店戦略』は、どの企業様にとっても大きな経営課題となっており、特に売上予測精度の向上は最も重要な要素になります。
なぜ当社のAIが高い精度を出せるのか?という点については、後ほど詳しくご説明いたします。

●地図やおでかけ情報を扱うマップルが、なぜ売上予測を始めたのでしょうか。
当社は創業以来、見やすく高品質な日本全国の地図情報を整備しております。時代の変化とともに、平成の初期の頃からそれらの地図情報をデータベースで一元管理するようになり、コンピュータの普及とともに地理空間情報の「デジタルデータ製品」として多くのお客様にご提供してきました。飲食店や小売事業者様にも大変多く活用されており、その一つの主力サービスとして店舗検索パッケージ「ACCESS MAPPLE Suite」があります。
ACCESS MAPPLE Suite」は、多店舗展開されている企業様の店舗検索機能や店舗情報を簡単にサイト上に設置出来るシステムパッケージ製品で、これまでに数多くの企業様にご利用いただいています。
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これは高品質な店舗案内サイトを簡単に実現するための言わば「広報兼集客装置」ですが、いくら広報が良くてもその上流工程にある店舗の立地、つまり店舗開発の精度ひとつで集客もその先にある業績も大きく左右されてしまうという課題を何度も耳にしました。とは言え、店舗開発と言う領域はある意味職人技であり、各企業様の企業秘密が注ぎ足されながら伝承されているため、課題は認識しつつも当社が立ち入ることができる領域は地理情報の間接的な提供など限られた接点のみでした。
転機は突然やってきました。AIの普及です。AIを活用することでこれまで非常に多くを費やしていた計算や分析コストが飛躍的に圧縮されました。「この技術を使いこなすことができれば、当社でも売上予測ができるのでは?」「何度も耳にした店舗開発ひとつで・・・という課題解決にも貢献できるのでは?」と考えたことがきっかけです。
幸いにも当社には充実した地理情報があり、そしてなにより課題を抱えているお客様がいらっしゃるということが開発の後押しとなりました。

ご活用いただきたいシーン
●既存ビジネスの延長線上にあった課題を解決したいというきっかけだったのですね。ではどのような企業様の課題解決を想定しているのでしょうか。
ずばり多店舗展開されている飲食、小売、そしてサービスチェーン運営企業様です。既存店舗のデータを元に新規物件の売上を予測するため、展開店舗の業態が近しく、またある程度の既存店舗数がある程精度は高まります。

●「業態が近い」「ある程度の店舗数」をもう少し具体的に教えてください。
「業態が近い」と言うのは、展開している店舗のタイプにバラつきが少ないことを意味しています。例えば、出店する立地のタイプが路面店、ショッピングセンター、フードコート、駅ビル、都市部駅前、郊外ロードサイド、高層階などとバラバラでは、その分だけ傾向が掴みづらくなります。ただし、たとえバラバラであっても戦略に基づきセグメンテーションが出来ていればしっかり傾向が掴めますので、十分な予測精度が期待出来ます。
「ある程度の店舗数」ですが、目安としてひとつの業態(ブランド)で50店舗程度です。それより少ない場合、企業様がお持ちの情報に加えて当社が別に用意するご提案も可能です。その意味では店舗数はあくまで理想で、一概に、少ない=不向きとはなりません。

●店舗開発業務のご担当者様はどのような悩みがあるのでしょうか。
業務上の課題は別として、やはり業務の重要さと大変さがなかなか社内で理解されづらいことをよくお聞きします。いくらECが発達しても店舗がないと事業を支え拡大することができませんが、それを一手に担う店舗開発の細やかで多岐にわたる業務に理解を示す経営者が少ないようです。
エリア調査・選定、候補物件調査・選定、物件比較、計画、決裁、契約、設計、開業、このいずれもの工程で多くの調整やコミュニケーションが生じ、さらにそれが同時並行で進むことも珍しくないようです。
にもかかわらず、店舗の業績が良いと現場運営側が賞賛され、そうでないと「思ったより来店者が少ない」「客単価が低い」「競合がぶつけてきた」のように「立地」にその原因を求めることもしばしばあるようです。

●では、なぜ社内の理解が進まないのでしょうか。
それは各企業様それぞれの話ですので、当社がそれを申し上げる立場にはありません。しかし一つ、当社で解決することが可能な原因があるとすれば、立地や物件の価値、計画のベースとなる各種数値が、客観的で定量的でないということかと考えています。
先ほどお話した店舗開発の各工程を進める中で様々な指標を持ち出すと一本筋の通った合理的な説明が難しくなり、「何をやっているかよくわからない」となってしまいがちなのではないかと考えています。

●というと、多くの企業様では「一本筋が通っていない」ということですか。
少々大げさに言いましたが、お聞きした範囲ではそのような企業様も多くいらっしゃいました。ここで申し上げておかなくてはいけませんが、アナログな手法=筋が通っていない、という意味ではありません。手法を問わず精度高く予測をされている企業様がいらっしゃることも事実ですし、何より、いくらAIが進化しようとも最終判断を下すのは人間ですし、データやAIはその判断をより正しく行うための材料提供と考えています。

●地図の世界で言うと自動運転にも似ていますね。
近いかもしれないですね。余談ですが、個人的には運転そのものよりは目的地の設定が近いのではと思います。

●目的地設定の方が近いとは。
自動運転はいくつかのレベルがありますが、最終的には人間の目や手がなくとも目的地に到達することを目指していますよね。一方、いくらその技術が高まっても目的地は最終的には人間が決めるものです。どこの温泉に行きたいとか、来週家族でどこに行こうか、と言った部分は機械には決められません、というか勝手には決めて欲しくないですよね(笑)
でも、「あなたにはこういう観光スポットがオススメですよ」とか「ここにこんなお店が出来ましたよ」というレコメンドは、私のことを良く知っているAIに出して欲しいと思います。その精度が高ければ高いほど安心して目的地を選定できると思いますし。それと同じように出店候補物件選定もAIによって高いレベルで売上が予測ができれば、安心して出店候補地を選定出来るようになると思います。

●話を戻します。「一本筋を通す」にはどのような取り組みが必要と考えていますか。
ひとつは客観性だと考えています。人間ですので、人により評価に揺らぎが生じることは自然ですが、その揺らぎをなるべく均質にするために、客観的なデータを用いた評価環境を構築することが必要だと考えています。
もうひとつは予測精度です。いくら客観的で均質な評価ができても、その誤差が大きくては本末転倒であることは言うまでもありません。

●それを解決するのが「売上予測AIモデリングサービス」ということですね。
うまく軌道修正しましたね。はい。本サービスはシミュレータをご提供するため、いつでもどなたでも均質な評価を行ったいただくことが可能です。
かつ高精度な予測モデルを内蔵しているため、客観的で精度の高い売上予測を実現することが可能です。

高精度な予測を実現するには
●AIと言うと中身が見えず、なぜ高精度な予測ができるのかが解りづらいのですが。
同じ性質のことを自社内で行っていたり他社様が提供していたりしますが、それらの予測精度は良くて誤差20%前後だと聞いています。それに対して当社は誤差10%前後を実現いたします。その秘訣はいくつかあるのですが、ここで話すのは憚られますので簡単にひとつお話しいたします。その他が気になる方はぜひお問合せください。

●もったいぶりますね。ではひとつ教えてください。
当社では「バックテスト」と呼んでいる、予測精度と汎用性を高めるためのテスト手法です。
例えば既存店舗が100店舗あったとします。これを基に予測モデルを作成するのですが、100店舗の情報を使ってモデルを作成し、モデルを作成した100店舗でテストを行っている例をよく聞きます。この手法だと100店舗でこそ非常に精度の高いモデルができますが、汎用性が低いため、いざ実際に運用を始めた101店舗目で大外しするという事態を招きかねません。
そのリスクを低減する手法が「バックテスト」です。当社のテスト手法は、100店舗をモデル作成用の80店舗と検証用の20店舗にランダムに分けます。モデル作成は80店舗の情報のみを用いて作成し、一切の値を伏せた検証用の20店舗で性能を検証いたします。これにより疑似的に新規候補物件を予測する環境を作成し、運用時の101店舗目以降でも精度の高い予測を可能にするための汎用性を担保いたします。

●汎用性、というのはどのような意味でしょうか。
ここで言っている汎用性とは、自社の標準的な業態であればどのような候補物件でも広く有効なモデルの性格を意味しています。
特徴量と売り上げの関係を店舗ごとに突き詰めていくと、個別店舗ごとのモデルを作成することになります。これは既存店舗の売上を予測するには有効ですが、新規候補物件の売上を予測するには不向きです。なぜなら汎用性が低いからです。100店舗でモデルを作成し評価を行うこともこれと同じです。
まだ見ぬ新規候補物件の売上を予測することが目的ですので、20店舗の情報を伏せて性能を評価し汎用性を担保するのがバックテストです。

●お客様側ではどのような情報を保有していることが望ましいでしょうか。
既存店舗の「内部情報」と商圏などの「外部情報」があることが望ましいです。
既存店舗情報は各既存店舗の売上が最も重要ですが、これはどの企業様でもお持ちです。その他では、立地(店舗)タイプ、面積、席数、駐車場台数、視認性、間口の広さなど、多くあるに越したことはありません。
外部情報は、商圏、周辺人口(年齢構成、昼間人口)、小売販売額、乗降客数、通行量など、こちらも保有情報が多いほど特徴量が作成しやすくなります。
このあたりは細かに話すと長くなりますので、また別のコラムでご紹介できればと思います。

●そのような情報を保有していない場合はどうなりますか。
技術的に言うと既存店舗の売上さえあれば予測は可能ですが、それでは高い精度が期待出来ないため、極端に情報が少ない場合は本サービスのご提案ができない可能性もあります。例えば、商圏分析ソフトがあれば外部情報の取得は可能ですので、ある程度既存店舗の情報があればご提案は可能です。
また、当社は地図会社として以前から様々な地理情報や各種統計データを取り扱って来ましたので、そのようなノウハウやネットワークを活かしてデータの準備からご協力することももちろん可能です。

●マップルは、全ての製品やサービスにおいて独自の強みとなる「プラスα(アルファ)の提供価値」を打ち出していますが、このサービスにおけるプラスαと言える要素はどのような点でしょうか。
よくぞ聞いてくれました。大きく言うと3つのプラスαがあります。
1つ目は、シミュレータを納品する点です。
この分野はコンサル型のサービスが多いと考えています。それを否定するつもりはありませんが、このコンサル型の場合は予測に時間が掛かるとお聞きしています。それに対して当社はシミュレータをお客様の手元に納品するため、いつでも、だれでも、高精度に予測ができる環境をご提供いたします。私たちは予測の結果をお伝えするだけでなく、お客様自身の店舗開発力を向上するお手伝いをすることを目指しています。
2つ目に、やはり予測性能です。20%前後で比較的精度が高い方だと言われていますが、当社はこれを上回る10%前後を実現いたします。これに関してはここで細かくご説明することができないため、是非、お問合せください。
そして3つ目に、何より地理情報を自社で整備している点です。お客様で保有していない地理情報をご提供することや、GISを活用して内部で散在している情報を整理することを本業としているため、幅の広いご提案が可能です。

今後の展望
●今後の展開構想を聞かせてください。
まずは本サービスにより店舗開発業務の課題とそれに携わるご担当者様の悩みを解決し、多店舗展開されている企業様の業績に貢献することが第一です。そのうえで今後の展開ですが、開業した店舗の運営にかかる業務にも貢献できる術を模索していきたいと考えています。
例えば、本サービスのコアとなる技術は需要予測にも活用できると思います。過度に需要を予測すると販売計画が過大になり、生産過多、在庫過多、廃棄ロス、コストアップという循環につながります。一方、過小に予測すると、在庫切れ、販売機会損失、売上減少、調達コスト増、利益減、顧客満足度低下、企業価値の低下、という循環につながってしまいます。適切な需要予測も店舗運営上の大きな課題の一つだと思いますので、このような課題にも是非、貢献していきたいですね。
地図データの間接的な提供、そして店舗案内サイトの接点をきっかけに始めた本サービスを、さらに店舗運営の先にある一連の課題解決につなげて行けると、本当の意味での店舗運営におけるトータルソリューションが実現できるものと考えています。

●ひとつ肝心なポイントを聞き忘れました。今はコロナ禍で店舗運営においても不安定な状況が続いています。このような場合、どのように売上を予測するのでしょうか。
こう言うと無責任に聞こえてしまうかも知れませんが、コロナ禍で実際の売上を高精度に予測することは極めて困難です。店舗営業時間、来店者の外出自粛、Go To Eatキャンペーンのような政策、テイクアウト対応のような企業努力、このような一次的と考えられる外的要因の影響を定量的に捉えてかつ未来を予測することは不可能とも言えます。
しかしながら、店舗開発業務では「ポテンシャル」を正しく評価することが重要だと思います。本サービスでは常に「平時の売上」を予想します。例えば「オープン景気」なども同様です。「オープン景気」とは呼ばれる開店直後の繁盛する期間のことですが、この期間の情報を取り込まないことでその店舗の本来のポテンシャルを数値化し、候補物件のオープン景気が落ち着いた平時の売上を予測します。
コロナ禍における売上は様々な外的要因をうけ、特需もあればその逆もあります。そのため、先述のような外的要因を加味せずその店舗が本来持っているであろうポテンシャルに視点を置き、候補物件の客観的な調査や物件どうしの比較を行うことが必要だと考えています。

●本サービスの費用感はどれくらいでしょうか。
ズバリ〇〇円です!と言いたいところですが、こちらもぜひお問合せください。店舗数やバックテストの内容によっても多少異なりますが、店舗開発の成否が業績に与える影響を考えると、十分にご検討いただけるものと思っています。

最後に
●最後にこのコラムをご覧になっている方にお伝えしたいことがあればお願いします。
「本サービスの採用をすぐに検討するのは難しい」という方も多いと思います。そのような場合でもお気軽にご相談ください。皆さまが現在行われている手法で精度を向上させる方法についても、弊社なりにアドバイスをさせていただきます。
今回は省略しましたが、特徴量の種類やその処理といった話は、掘り下げていくと、とても面白い分野です。またこの場でお話ししたいと考えていますので、こまめに見ていただければ嬉しいです。
私が担当する事業開発部門としては、本サービス以外にも、観光データ分析サービスである「Travelers’ Mind(トラベラーズマインド)」や迷子支援サービスの「おかえりQR」など、様々な新技術を応用した課題解決型のサービスを新たに立ち上げています。
今後も地図に関する知見やノウハウ、そして技術力を活用し、マップルだからこそ出来る新しいソリューションを展開していきたいと思いますので、是非、ご期待ください。
本日はありがとうございました。



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