地図の雑学|象潟・九十九島(秋田県)~筆が示す日本三景・松島と並ぶ景勝地の跡~

2026年07月03日配信

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MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。

◆No.99  象潟・九十九島(秋田県)
~筆が示す日本三景・松島と並ぶ景勝地の跡~

秋田県にかほ市象潟(きさかた)では、田植えの時期になると、一風変わった景色を見ることができます。田園地帯にいくつもの小高い丘があるため、水が張られた田んぼがまるで海のように広がり、その姿は海に浮かぶ島々を連想させます。
この独特な風景を生み出している象潟地域の筆(土地)を見ると、長方形に規則正しく区切られた筆(土地)の中に、不規則な形状をした筆(土地)が点在していることがわかります。この地域で見られる特徴的な筆(土地)は、その昔、小さな島々が浮かぶ入り江があった証です。長方形に区切られた筆(土地)は現在の田んぼですが、当時は穏やかな水面であり、不規則な筆(土地)はそこに浮かんでいた島々にあたります。

九十九島

象潟にかつて存在した島々は「九十九島(くじゅうくしま)」と呼ばれています。これらは紀元前466年に起きた「象潟岩屑(がんせつ)なだれ」によって形成されました。鳥海山の山体が崩壊し、滑り落ちてきた土砂や岩が「流れ山」となり、入り江と小さな島々を生み出しました。江戸時代には「象潟の九十九島」として、日本三景の一つである「松島」と並び称されるほどの景勝地として知られていました。「おくのほそ道」で知られる松尾芭蕉も、松島を訪れた後にこの地へ足を延ばし、次のような句を詠んでいます。

『象潟や 雨に西施が ねぶの花』
『汐越や 鶴はぎぬれて 海涼し』

5000071_00001芭蕉の句碑(蚶満寺) 

当時の象潟に、松島に匹敵するほどの風光明媚な景色が広がっていたことが句からも伝わってきます。しかし、松尾芭蕉が象潟で二つの句を詠んでから100年余りが経った1804年(文化元年)、大規模な地震が発生して周辺の地盤が隆起しました。その結果、入り江は陸地へと変わり、かつての「九十九島」は陸続きになります。こうして、海に島々が浮かぶ象潟の美しい風景は姿を消すことになりました。

象潟(空中写真)緑の不定形な筆(土地)が島であった名残り 

 現在の象潟は、田園地帯に小高い丘が点在する独特の景観を形成しています。完全に陸続きとなった今、そこがかつて海だったことを一見してうかがい知ることはできません。しかし、筆(土地)には、松尾芭蕉が見つめた、水面に島々が浮かんでいた頃の「象潟の九十九島」の面影が今もなお残されています。 

出典:
土地理院ウェブサイト「地理院地図(電子国土Web)データ」(国土地理院)をもとに加工して作成
国土地理院撮影の空中写真(2022年撮影)
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成




 

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