地図の雑学|ひたちBRT・日立電鉄(茨城県)~地図で紐解く、廃線鉄道とBRTのつながり~

2026年03月20日配信

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MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。

◆No.95  ひたちBRT・日立電鉄(茨城県)
~地図で紐解く、廃線鉄道とBRTのつながり~

茨城県日立市の地図に、一見すると普通の道路を走るバス路線と並行して、少し変わったバス路線があることに気づきます。しかし、土地情報を詳しく見てみると、その違いは明らかです。一方の道路が「道」のポリゴンで示されているのに対し、もう一方の道路は「地番」が付与された土地になっています。「道」のポリゴンは、昔から道路があったことを想像させますが、地番が付与されている土地には、かつて別の何かが存在したことを示唆しています。実は、この地番が設定された道路には、かつて日立電鉄という鉄道が走っていました。

地図図の中心付近のポリゴンで、赤色の道路と左の道路では筆情報の種別が異なる 

日立電鉄は、企業城下町である日立市と、佐竹氏の居城があった常陸太田市を結ぶ路線でした。1928年(昭和3年)に常北電気鉄道として運行を開始し、その後延伸を続けました。1944年(昭和19年)には社名を日立電鉄に変更。常北太田駅から鮎川駅までの18.1kmが全線開通しました。しかし、設備の老朽化や厳しい経営状況などを理由に、2005年(平成17年)に廃線となりました。

鉄道廃線後、日立市内では日立電鉄の跡地を活用したBRT(Bus Rapid Transit)運行計画が持ち上がります。BRTとは、バス車両、専用道・専用レーン、優先信号などを組み合わせた公共交通システムで、速達性、定時性、輸送力の強化が特徴です。バスが専用道路を走るため、一般道のような渋滞がなく、時間通りの運行が期待できます。

地図

空中写真_1984~1986年

 赤色の部分(地図)には鉄道(空中写真)が写っている 

この「ひたちBRT」と呼ばれる路線は、2013年(平成25年)に運行を開始しました。当初は日立おさかなセンターからJR大甕駅までの区間が開通し、その後JR常陸多賀駅まで延伸しましたが、その多くは日立電鉄の路線跡ではなく、一般道を走行していました。専用道路を走る本来のBRTの姿が実現したのは、2019年(平成31年)4月になってからのことです。

ひたちBRT_2

現在、ひたちBRTはJR常陸多賀駅近くの河原子からJR大甕(おおみか)駅を通り、南部図書館まで運行しています。全長約8.6kmのうち、約70%にあたる約6.1kmが専用道路区間として走行しています。ひたちBRTは市内の駅と公共施設や工場を結ぶだけでなく、沿線には日立おさかなセンターや河原子海水浴場などの観光地も点在しており、多くの人に利用されています。

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現在の姿からは、かつての鉄道の面影を想像することは非常に難しいでしょう。しかし、筆(土地)の形状や情報を活用し、さらに地図や空中写真など、複数の情報を組み合わせることで、「その土地に何があったのか」を読み解くことができます。今回のケースでは、筆(土地)が「細長い形状で連続している」「地番が付与されている」という特徴に加え、「地図に廃線跡として表示されている」、さらに過去の空中写真を確認することで、ひたちBRTが日立電鉄の鉄道跡地を活用していることがわかるのです。

地図_廃線跡_加工あり

空中写真__駅舎_1984~1986年

 地図には日立電鉄跡の表記が、空中写真には駅が写っている 

出典:
国土地理院ウェブサイト「地理院地図(電子国土Web)データ」(国土地理院)をもとに加工して作成
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成

 

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