2025年06月20日配信
MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。
◆No.76 ユーラス江差ウインドファーム(北海道)
~古銭の形をした不思議な筆~
北海道江差町に古銭の形をした筆(土地)が点在しています。農地の中にある、この不思議な筆(土地)は一体何なのでしょうか。空中写真でみると、筆(土地)の場所には、白い風車のような施設が建っています。この特徴的な筆(土地)にある施設は風力発電の施設です。
点在する古銭形の筆
風力発電は、風を受けて回転するブレード、発電機や回転数を高める増速機などを収めたナセル、そしてそれらを支えるタワーで構成されています。風の力でブレードが回転すると、その回転エネルギーが増速機によって増幅され、発電機で電気エネルギーに変換されます。
風力発電は、燃料を燃やさずに発電できるクリーンなエネルギー源として、近年注目を集めています。他の再生可能エネルギーと比較してもエネルギー変換効率が高く、発電コストが安いというメリットがあります。環境にやさしい風力発電ですが、発電量は風の強さに左右されるため、安定した風が求められます。また、施設の設置にあたっては、ブレードが風を切る音による騒音、タワーの建設による景観への影響、台風や強風、落雷といった自然災害への対策など、さまざまな点を考慮する必要があります。
改めて江差町の古銭の形をした筆(土地)についてご紹介します。ここにはユーラス江差ウインドファームの風力発電の施設があります。タワー部分は四角形の筆(土地)、ブレードが回転する範囲は円形の筆(土地)が設定されているようです。施設の近くには道路が通っており、タワーを間近で見ることができます。真下から見上げると、ブレードが風を切る音が間近で聞こえ、その音とブレードの大きさに圧倒されます。
江差町は、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにすることを目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言しています。風力発電は、この目標の達成に向けた重要な取り組みの一つです。江差町は風況が良好であることから、風力を活用した取り組みに大きな期待が寄せられています。
胎内市の風力発電施設の筆
全国には電力会社や再生可能エネルギー事業者が管理・運営している風力発電施設があり、風力発電のための特徴的な筆(土地)は各地で見ることができます。新潟県胎内市にある村松浜・中村浜・笹口浜の3つの浜には、等間隔に並んだ古銭のような形の筆(土地)が印象的です。この地域は、日本海から安定した風が吹き、騒音の心配も比較的少ないことから、風力発電に適した環境といえるでしょう。海岸線に立ち並ぶ風車の姿は壮観です。
出典:
国土地理院ウェブサイト「地理院地図(電子国土Web)データ」(国土地理院)をもとに加工して作成
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成
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