MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。
◆No.70 リニア宮崎実験線(宮崎県)~新時代の鉄道実験線と新エネルギーの発電施設の筆~
宮崎県都農町には日向国一之宮に位置づけられる都農神社があります。創建は神武天皇が即位する前という大変古い歴史を持つ古社です。戦国時代には島津氏と大友氏の争乱によって社殿などが焼失しましたが、江戸時代に高鍋藩主である秋月種政によって再建されました。今では撫でると福をもたらす「撫で大国」や無病息災のご利益があるとされる「撫でうさぎ」などが境内にあり、参拝する多くの人で賑わいを見せています。
都農神社から日向灘に目を向けると、都農町から日向市の海岸線に沿って細長く連続した筆(土地)を見つけることができます。これは磁気浮上式鉄道(リニアモーターカー)の実験線の跡です。リニアモーターカーの走行試験は、1977年(昭和52年)に浮上式鉄道宮崎実験センターが開設され始まりました。実験車両が投入され、走行試験では1979年(昭和54年)に無人走行で時速517kmという当時の世界最高速度を記録しました。
リニア宮崎実験線の筆
その後、車両の改良が行われ、有人走行において時速411kmを記録するなど、さまざまな走行試験が実施されました。宮崎での走行試験が進むにつれ、勾配やカーブ、トンネルといった地形を想定した実験線の必要性が高まりました。そこで、山梨県に実験線を建設することになり、1996年(平成8年)に宮崎での走行試験を終了し、試験の場を山梨県へ移すことになりました。
現在のリニア宮崎実験線跡
宮崎に残された実験線の高架施設は、メガソーラー発電所施設として再び注目を集めることになりました。まず、メガソーラー発電所を建設する前の試験用として、第1発電所が実験線の南端のわずかな区間に設置されました。その後、メガソーラー発電所となる第2発電所が2011年(平成23年)に完成しました。こうして、実験線の高架を活用した全長約3.9㎞にもおよぶ細長いソーラー発電所が誕生しました。
実験線の高架施設を利用したソーラー発電
都農町の海岸線で見られる細長い筆(土地)は、磁気浮上式鉄道(リニアモーターカー)の実験線の痕跡であり、現在はメガソーラー発電所として活用されてきた歴史の変遷を伝えています。
出典:
国土地理院ウェブサイト「地理院地図(電子国土Web)データ」(国土地理院)をもとに加工して作成
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成
「地図の雑学」
「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
> これまでの記事一覧はこちら