コラム

地図の雑学|福島空港(福島県)~筆から見える もう一つの福島空港~

MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。

◆No.64 福島空港(福島県)~筆から見える もう一つの福島空港~

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福島空港は、福島県南部に位置する玉川村と須賀川市にまたがる丘陵地に1993年(平成5年)に開港しました。地図で福島空港を見ると、南側の滑走路の横に、航空機が着陸する際に滑走路への進入経路を示す灯火「進入灯」のような形をした筆(土地)があります。この不思議な筆(土地)はいったい何なのでしょうか。この謎を解き明かすことで、福島空港の変遷が見えてきます。

滑走路にある進入灯の筆

福島空港の開港当初、滑走路の長さは2,000mでした。その後、大型飛行機の発着や就航範囲の拡大が計画され、滑走路の延長事業が計画されました。この計画は、既存の滑走路を運用しつつ、滑走路の西側120mの位置に新たに滑走路を建設し、さらに滑走路の長さも南へ500m延伸するものでした。その後、滑走路の延伸工事が行われ、延伸した滑走路の先には巨大な橋梁を持つ進入灯が建設されました。そして、新しい福島空港は2000年(平成12年)に供用を開始しました。

巨大な橋梁を持つ進入灯

空中写真で福島空港の周辺を確認すると、滑走路の先に進入灯が写っていますが、謎の筆(土地)は、現在の進入灯からは離れています。もし、この謎の筆(土地)が開港当初の進入灯のものだとすると、現在の進入灯から東へ120m、北へ500m離れているはずです。

そこで、現在の進入灯と、滑走路の横にある謎の筆(土地)の距離を計測したところ、確かに東西に120m、南北に500m離れていました。福島空港の滑走路にある謎の筆(土地)の正体は、滑走路が延伸される前の「もう一つの福島空港」の姿なのです。

3つのエリアからなる福島空港公園

福島空港は拡張によって現在の姿になりましたが、実は空港の拡張は、隣接する福島空港公園の計画にも影響を与えました。当初の計画では、レクリエーション施設を中心でしたが、福島空港の拡張計画に伴い、計画は変更されました。その結果、スポーツやレクリエーション施設に加え、自然を活かした季節の樹木や花々が楽しめる、自然豊かな公園として整備され、現在に至っています。

出典:国土地理院ウェブサイト「地理院地図(電子国土Web)データ」(国土地理院)をもとに加工して作成
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成

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「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
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