MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。
◆No.60 犬山城・犬山城下町(愛知県)~筆に残る国宝の城と城下町の姿~
愛知県犬山市の筆(土地)には、犬山城を中心として、城下町の特徴がよく表されています。犬山城は日本に現存する国宝天守の1つで、織田信長の叔父である織田信康によって築城されたといわれています。小高い山に建つ天守は、三層四階地下二階の望楼型天守で、最上階からは城下町や木曽川、さらに遠方にある岐阜城まで見渡すことができます。
犬山城は、古くから政治・経済・交通の要衝でした。そのため、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康といった戦国時代を代表する武将達が犬山城を巡り、幾度も戦いを繰り広げました。現在の犬山城の天守は、1617年(元和3年)に成瀬正成によって完成したといわれています。その後、幕末に至るまで成瀬家が城主を務め、明治時代を迎えました。明治時代には全国各地で城の取り壊しが行われ、犬山城も天守を除く建物が取り壊されました。
犬山城の天守は、2004年(平成16年)まで個人所有の城として知られていました。1891年(明治24年)に発生した濃尾地震により、天守は半壊の被害を受けました。当時の所有者であった愛知県は修復が困難だったため、修理を条件に旧城主である成瀬家に譲渡し、成瀬家と犬山の人々の義援金によって天守は修復されました。その後、犬山城は約100年に渡り、個人所有のもとで管理されてきました。
改めて筆(土地)に注目してみると、犬山城の天守やそこへ至る道などの筆(土地)やポリゴンが確認できます。また、城下町には「鍵の手」と呼ばれる、城下町特有の形状をした道のポリゴンや、幅員が一定ではない道のポリゴンが見られ、城下町特有の防御のための構造がうかがえます。さらに、通り沿いに立ち並ぶ町屋の筆(土地)や、寺社の大きな筆(土地)なども見られます。これらの筆(土地)は、犬山城を中心に整備された城郭と町割りの面影を今に伝えています。
城下町の風景
出典:「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成
「地図の雑学」
「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
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