コラム

地図の雑学|熊谷スポーツ文化公園(埼玉県)~筆から過去の土地利用が読み取れる~

MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。

◆No.55 熊谷スポーツ文化公園(埼玉県)~筆から過去の土地利用が読み取れる~

埼玉県熊谷市にある熊谷スポーツ文化公園の筆(土地)からは、公園が開園する前の姿を読み取ることができます。熊谷スポーツ文化公園は、ドーム型の運動施設や陸上競技場、ラグビー場などがある総合公園です。地図で熊谷スポーツ文化公園を見ると、長方形の筆(土地)が規則正しく並んでいます。その姿は、まるで方眼紙に書かれた設計図のようです。実はこの筆(土地)は水田でよく見られる筆(土地)の形で、形状や配置から過去の土地利用の姿を読み取ることができます。

この場所をMAPPLE法務局地図ビューアで見てみる

熊谷スポーツ文化公園の開園は、あるイベントと関係があります。熊谷市では1988年(昭和63年)に「さいたま博覧会」が開催されることになり、この地が会場となりました。のちに公園として整備され、2004年(平成16年)には国民体育大会(国民スポーツ大会)、2019年(令和元年)にはラグビーワールドカップの会場として利用されました。

2015年

1987年~1990年

空中写真で土地の変遷を見ると、2015年に撮影された空中写真にはドームやラグビー場が写っています。ここから時代を遡って見ると、1987年~1990年では、公園の東側は造成中で彩の国くまがやドームはまだ完成しておらず、水田が広がっています。

1984年~1986年

1979年~1983年

1984年~1986年は、さいたま博覧会が開催される少し前ですが、公園の西側にあるラグビー場などはなく、湾曲した園路が造成されており、博覧会に向けて造成が進められていることが分かります。そして、1979年~1983年に撮影された空中写真を見ると、その場所は水田があり、筆(土地)の形状と水田の形状が一致していることが分かります。

筆は1979年~1983年の水田の形と合致している

熊谷スポーツ文化公園は、水田として利用されていた土地に、さいたま博覧会の会場が整備された後、公園として再整備、拡張されていきました。このように筆(土地)からは過去の土地利用の姿を読み取ることができます。

出典:
国土地理院ウェブサイト「地理院地図(電子国土Web)データ」(国土地理院)をもとに加工して作成
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成

「地図の雑学」
「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
> これまでの記事一覧はこちら

COLUMN一覧へ