MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。
◆No.51 仙台国際空港(宮城県)~空港から一直線に延びる筆~
宮城県名取市の浜辺に細長い形をした筆(土地)があります。その筆(土地)は仙台湾に向かって延びています。この筆(土地)は一体何の筆なのか。仙台湾の反対を見ると、そこには仙台国際空港(仙台空港)があり、どうやら空港と関係がある筆(土地)のようです。
仙台国際空港は、旧陸軍の飛行場として1940年(昭和15年)に完成しました。太平洋戦争が終結すると、米軍によって接収されますが、のちに返還され、1964年(昭和39年)には仙台飛行場から仙台空港へと改称されました。このときの滑走路が現在のA滑走路になります。
1972年(昭和47年)になると現在のB滑走路が造られました。当初は長さ2,000mの滑走路でしたが、のちに大型ジェット機の精密進入が可能となる2,500mに延長され、1998年(平成10年)には航空需要の高まりと国際化に対応するために3,000mへと再度延長されました。
1961年~1969年
1974年~1978年
一直線に延びる筆(土地)を知るために、年代ごとの空中写真で比較すると、1961年~1969年の空中写真にはA滑走路のみが写っており、一直線に延びる筆(土地)は水田と防風林、砂浜になっています。一方、1974年~1978年で見ると1972年に造られたB滑走路が写っています。そして、B滑走路の先には仙台湾に向かって等間隔に並んだ建造物が見えます。
拡大すると誘導灯が見える
これは進入灯で、空港へ着陸をする航空機に対して進入方向や位置、高さ、姿勢など様々な情報をパイロットに伝える役割を持っています。筆(土地)と新しい空中写真を重ねて見ると、筆(土地)と進入灯がぴったり一致しています。つまり、仙台湾に向かって一直線に延びる筆(土地)は飛行場の進入灯の筆(土地)になります。
稚内空港
南ぬ島石垣空港(新石垣空港)
このような進入灯の筆(土地)が設定されている空港は多く、その中でも形状が良く表されているのが稚内空港と南ぬ島石垣空港(新石垣空港)です。稚内空港は日本最北にある空港で、宗谷地域の玄関口になっています。進入灯の筆(土地)を見ると、滑走路から一直線に延びる筆(土地)が綺麗に表されています。一方、沖縄県の石垣島にある石垣空港は八重山地域の玄関口となる空港で、2013年に市街地にあった空港が移転して開港しています。進入灯の筆(土地)を見ると、移転前からある農地等の土地の中を貫くような形で設定されています。筆の形状が、農地等の区画の筆と角度が異なっているために、鮮明に地図上に表されています。
出典:
国土地理院ウェブサイト「地理院地図(電子国土Web)データ」(国土地理院)をもとに加工して作成
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成
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