コラム

地図の雑学|錦海塩田跡(岡山県)~東洋一の塩田と日本最大級のメガソーラーの筆~

MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。

◆No.47 錦海塩田跡(岡山県)~東洋一の塩田と日本最大級のメガソーラーの筆~

岡山県瀬戸内市の牛窓は、海水浴場やオリーブ園がある岡山県の観光地です。海に浮かぶ島々とオリーブの木々が茂る牛窓の風景は、日本のエーゲ海とも呼ばれています。観光地として知られる牛窓の北に目を向けると他の地形とは異なる大きな一筆の土地が見られます。

牛窓の風景

この場所をMAPPLE法務局地図ビューアで見てみる

この筆(土地)にはかつて錦海塩田がありました。錦海湾を開拓して造成された塩田の規模は大変大きく、東洋一の広さを誇っていたと言われています。もし、現在見ることができる筆(土地)の大きさが、錦海塩田の大きさだとすれば、筆(土地)からも東洋一といわれた塩田の広さを伺い知ることができます。

錦海塩田のある瀬戸内海では、古くから塩田事業が盛んでした。理由として晴れの日が多く、温暖な気候であることや潮の干満差が大きいことが挙げられます。しかし、塩づくりにおける技術が進歩すると、旧来の製造方法は徐々に減り、最終的には錦海塩田は閉鎖され、この地域における塩田事業は終わりを迎えました。

西から見た錦海塩田跡

塩田の閉鎖後、跡地には野鳥をはじめ貴重な動植物が生息していましたが、広大な土地と晴れの日の多い気候を活かした日本最大級のメガソーラー(太陽光発電所)が建設されることになり、現在では発電によるエネルギー供給が行われています。一方、この地に生息していた希少生物の生態が脅かされることが懸念されました。そこで、希少生物の保護を目的とした整備も行われることになり、エネルギー開発と自然環境の保全という二つの両立を目指す活動が行われています。

出典:
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成

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「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
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