MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。
◆No.43 津南町の河岸段丘(新潟県)~筆から見る河岸段丘~
新潟県津南町では大規模な河岸段丘が見られます。9段にも及ぶ津南の河岸段丘には、約40万年前の段丘面(だんきゅうめん)もあり、その規模から日本一の河岸段丘と言われています。この河岸段丘を一望するには、津南町にある川の展望台やマウンテンパーク津南展望台(空の展望台)がお勧めです。
津南町の河岸段丘
河岸段丘は、川から階段状に平らな台地が形成されている自然地形です。段丘面と段丘崖(だんきゅうがい)からなり、段丘面は川の流れに沿うように平らな台地状になっています。蛇行する河川によって広がった谷底平野で土地が隆起すると、河川の下に向かう浸食力が大きくなり、周辺より一段低い位置を河川が流れるようになります。残された平地は段丘面となり、浸食された部分は段丘崖になります。この現象を繰り返すことで、階段状の土地が形成され、河岸段丘と呼ばれる地形が形成されていきます。河岸段丘は日本各地で見ることができますが、大規模なものとしては津南町のほか、群馬県沼田市や山梨県上野原市のものが知られています。
沼田市の河岸段丘
河岸段丘では、地形の特徴を生かした土地利用が行われてきました。低い段丘面は容易に水が得られるため水田になり、中段の段丘面は少ない水で育つ作物の畑や果樹園が造られました。また、高い段丘面は水害の被害を受けることが少なく、段丘崖で湧き水が湧出することから集落が形成されました。このように人々は河岸段丘の特徴を巧みに使い分け生活してきました。
筆(土地)と地形図を重ねると、低い段丘面では水田でよく見られる規則正しく並ぶ長方形の筆(土地)が見られ、高所の段丘面に上がるにつれ、畑などで見られる大小様々な四角形の筆(土地)になっています。さらに標高が高い段丘面では集落特有の密集した様々な形をした筆(土地)を見ることができます。
地形図でみる段丘面の土地利用
段丘面と段丘面の間にある段丘崖では、不均一で不定形な筆(土地)が見られます。地形図を見ると等高線の間隔が狭く表示されており、急激に標高が上がっていることが分かります。この部分について地形を強調した地図でみると、縦に延びる黒い陰影で、段丘面と断崖崖を見分けることができます。
縦に延びる黒い陰影が段丘崖
河岸段丘は様々な表現によってその特徴を明確に表現することができます。津南町の標高を段彩表現で表すと、青色で示された一番低い土地を流れる河川から、赤色で示された高地に向かって緑色、黄色、橙色の変化に合わせて、段丘面が表され、段丘面が階段状に形成されていることが分かります。
階段状に並ぶ段丘面(青:低地、赤:高地)
津南の河岸段丘の様子は地形図で表されていますが、筆(土地)を様々な種類の地図と組み合わせることで、より河岸段丘の特徴を捉えることができ、自然地形を知る資料として活用することができます。
出典:
国土地理院ウェブサイト「地理院地図(電子国土Web)データ」(国土地理院)をもとに加工して作成
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成
「地図の雑学」
「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
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