コラム

地図の雑学|鴻之舞鉱山跡(北海道)~栄華を極めた北の黄金郷の筆~

MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。

◆No.39 鴻之舞鉱山跡(北海道)~栄華を極めた北の黄金郷の筆~

その昔、北海道には黄金郷と呼ばれる、金の一大産出地がありました。しかし、その存在は意外に知られていません。その黄金郷は「鴻之舞」という地域にありました。鴻之舞はオホーツク海に面した流氷の町として知られる紋別市にあり、その場所は紋別の中心街から北海道道305号線を南へ約25㎞、遠軽町丸瀬布へ向かう途中にあります。

この場所をMAPPLE法務局地図ビューアで見てみる

現在は山に囲まれた静かな地域ですが、地図を見ると道路に沿って規則正しく整備された筆(土地)を見ることができます。ここにはかつて、たくさんの金が採掘され、東洋一の規模を誇ると言われた鴻之舞鉱山がありました。規則正しい筆(土地)は、鴻之舞鉱山に関わる人々が住み、施設が立ち並んだ鉱山町の痕跡です。

鴻之舞鉱山は1916年(大正5年)に鉱床が発見され、翌年には本格的に鉱山開発が始まりました。最盛期には大きな鉱山町を形成し、たくさんの人が生活をしていました。町内には福利施設や余暇施設が開設され、一時は軽便鉄道が走るなど、都市基盤が整備された時代の最先端を行く都市となりました。鴻之舞は金の産出と合わせて日本の黄金郷という表現に相応しい地でした。

しかし、鉱源が枯渇したことにより、1973年(昭和48年)に鴻之舞鉱山は閉山を迎え、北の黄金郷と言われた「鴻之舞」は、その輝かしい歴史に幕を下ろすこととなりました。現在の鴻之舞には坑廃水処理などを行う鉱山会社の事務所と、鴻之舞に関わる碑が残されており、辛うじてこの地に鉱山があったことを知ることができますが、かつて北の黄金郷と言われ、賑わいを見せた面影はなく、静かに自然に還りつつあります。

出典:
国土地理院ウェブサイト「地理院地図(電子国土Web)データ」(国土地理院)をもとに加工して作成
国土地理院撮影の空中写真(2017年撮影など)
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成

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「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
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