コラム

地図の雑学|前浜掩体群(高知県)~凸型をした戦争遺跡の筆~

MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。

◆No.37 前浜掩体群(高知県)~凸型をした戦争遺跡の筆~

筆(土地)には戦争遺跡の建造物が筆(土地)として設定されていることがあります。高知県南国市の高知龍馬空港の近くにある前浜地区には「掩体壕(えんたいごう)」と呼ばれる施設が点在しています。掩体壕とはドーム型をした飛行機を格納する施設のことで、空襲などから飛行機を守ることを目的として造られました。地図で前浜地区の筆(土地)を見ると、大小さまざまな掩体壕の筆(土地)を見つけることができます。

掩体壕 大沢1号(東京都 武蔵野の森公園)

掩体壕 大沢2号(東京都 武蔵野の森公園)

凸の筆(土地)が掩体壕

この場所をMAPPLE法務局地図ビューアで見てみる

高知県南国市前浜地区にある掩体壕の凸の筆(土地)は、長方形の農地の筆(土地)の中に浮いているよう設定されています。掩体壕のある部分を空中写真で拡大すると、農地の中に大小3つの凸型をした建造物が見られます。この建造物が掩体壕です。前浜にはこのような掩体壕が複数残されており、地域名から「前浜掩体群」と呼ばれています。

農地に点在する掩体壕(青色の凸)の筆

前浜掩体群の近くには、日本海軍の飛行場があったそうで、太平洋戦争が行われていた1944年(昭和19年)に高知龍馬空港の前身である旧海軍航空基地が建設されています。このことから、前浜掩体群は空襲に備えて、飛行場から比較的近い場所に造られた施設といえます。終戦後、米軍に接収されていた空港は、1952年(昭和27年)に返還され、民間飛行場とし て再開されました。

空港に隣接している掩体群

現在、前浜掩体群は南国市の史跡に指定されており、保存と管理のため、筆(土地)としても周辺の農地とは分けられて設定されていると考えられます。また、一部の掩体壕は公園として整備され、ドーム型の内部を見学することができます。戦争遺跡として後世に伝わる掩体壕は筆(土地)でも凸型をした形で残されています。

出典:
国土地理院ウェブサイト「地理院地図(電子国土Web)データ」(国土地理院)をもとに加工して作成
国土地理院撮影の空中写真(2017年・2019年撮影)
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成

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