MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。
◆No.35 桂浜(高知県)~桂浜を愛し、歴史を動かした坂本龍馬の筆~
高知県高知市の桂浜には少し変わった筆(土地)があります。その筆(土地)は太平洋に面した桂浜公園にあります。桂浜といえば、坂本龍馬が愛した場所とも言われ、公園内には太平洋に向かって建つ坂本龍馬の銅像があります。また、高知県民謡「よさこい節」の一節 “月の名所は桂浜”で唄われた地でもあり、高知を代表する観光地になっています。
戦国時代、桂浜公園の一角には長宗我部氏の居城であった浦戸城がありました。のちに土佐を治めた山内一豊が高知城を築城するまで、浦戸城はこの地の拠点として使われていました。また、浦戸は平安時代に活躍した紀貫之が記した土佐日記にも地名として登場するなど、古くから高知の玄関口でした。
現在、桂浜公園には1931年(昭和6年)に開設された桂浜水族館や高知県の偉人・坂本龍馬に関する資料などを展示した坂本龍馬記念館があるなど、市民の憩いの場として賑わいを見せています。また近年、商業施設が開設され観光スポットとしても注目されています。
改めて地図で桂浜公園をみると、公園の一角に小さな正方形の筆(土地)を見つけることができます。まわりの筆(土地)に比較すると明らかに違和感のある筆(土地)です。多くの場合、このような筆(土地)は、建物や遺構であったりするのですが、そのようなものは見当たりません。桂浜公園で見られる四角い筆(土地)は一体何の筆(土地)なのでしょうか。
その答えは地図の中にありました。正方形の筆(土地)がある場所を確認すると、近くに坂本龍馬銅像という注記があることが分かります。空中写真で確認をすると、銅像らしきものが写っており、どうやらこの正方形の筆(土地)は銅像のための筆(土地)であるようです。
坂本龍馬は高知県出身で江戸時代末期に倒幕のきっかけを作った人物です。江戸幕府に対抗するために薩摩藩と長州藩の薩長同盟の橋渡しや、土佐藩に大政奉還を提案し、江戸幕府の終焉に結び付けるなど新しい時代の幕開けに大きな影響を与えました。
桂浜で見られる筆(土地)は坂本龍馬の銅像が建つ筆(土地)でした。同様の筆(土地)を全国で探してみましたが、銅像のための筆(土地)というのは、なかなか珍しいのではないでしょうか。
出典:
国土地理院撮影の空中写真(2019年撮影)
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成
「地図の雑学」
「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
> これまでの記事一覧はこちら