コラム

地図の雑学|彦根城(滋賀県)~筆で見る国宝の城~

MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。

◆No.34 彦根城(滋賀県)~筆で見る国宝の城

全国には城や城郭の姿を色濃く表している筆(土地)があります。滋賀県彦根市にある彦根城 は、全国で国宝に指定されている 5 城のうちの一つで(他は姫路城、松本城、犬山城、松江城)、その筆(土地)には城郭の姿が色濃く表れています。
彦根城は、1604年(慶長9年)に徳川四天王の一人であった井伊直政によって着工しました。その後、息子である直継(のちの直勝)・直孝に託されますが、天守や御殿の造営、城郭の再構築など、城郭の全てが完成するまでに20年の歳月を要したと云われています。

彦根城の空中写真と筆(土地)を合わせて見ると、城郭の姿がよく表されていることがわかります。小高い丘を中心に築かれた本丸や、内堀・外堀といった姿を筆(土地)から読み取ることができます。 また、土地利用に合わせて筆(土地)のポリゴンに着色をすると、より詳細な城郭の姿が浮かび上がってきます。

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着色した筆(土地)のポリゴンごとに見ていくと、赤色は本丸や天守があり、彦根城の中心部にあたります 。 空中写真には南北に長い筆(土地)を囲むように木々が生い茂り、 山頂部にあることが分かります。 それらの周りには水色で示した堀があります。堀には天守を守る堀と武家屋敷などを守る堀があります。現在、堀の一部は道路に変わっていますが、堀のポリゴンは残っています。そして、茶色が石垣です。石垣は天守を守るように造られているのが分かります。

黄色に着色した筆(土地)には武家屋敷や藩校「弘道館」がありました。現在は裁判所や検察庁、学校が建っています。最後に本丸の北にあり紫色で示したのが、二の丸御殿の楽々園と池泉回遊式庭園の玄宮園です。どちらも敷地の形に合わせた筆(土地)が設定されており、今も昔も敷地の広さに大きな変化はないようです。

彦根城への登城道を歩くと、西国から徳川家を守るための防御の拠点であることを強く実感することができますが、 筆(土地) からも 彦根城が重厚で強固な守りの城であることを感じ取ることができます。

出典:
国土地理院ウェブサイト「地理院地図(電子国土Web)データ」(国土地理院)をもとに加工して作成
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成

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