コラム

地図の雑学|二ツ亀(新潟県)~陸繋砂州(トンボロ)で見られるポリゴン~

MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。

◆No.32 二ツ亀(新潟県)~陸繋砂州(トンボロ)で見られるポリゴン~

日本海に浮かぶ新潟県の佐渡島の北端には、標高167mの一枚岩が海に突き出すような姿を見せる景勝地「大野亀」があります。一帯はトビシマカンゾウの群生地として知られており、6月になると100万本ともいわれるトビシマカンゾウが咲き乱れ、外海府海岸を代表する景勝地になっています。

トビシマカンゾウが咲く大野亀

この場所をMAPPLE法務局地図ビューアで見てみる

大野亀の少し北には、もう一つの外海府海岸を代表する景勝地「二ツ亀」があります。二ツ亀は、沖にある島が二匹の亀がうずくまったように見えることから、その名が付きました。二ツ亀には佐渡随一の透明度ともいわれる二ツ亀海水浴場があり「日本の快水浴場100選」にも選ばれた人気スポットになっています。

二ツ亀を地図で見ると、二ツ亀島と佐渡島の筆(土地)を結ぶように登記所備付地図データのポリゴンが設定されています。しかし、ポリゴンの一部は海の上にかかっています。というのも、二ツ亀では潮の満ち引きによって陸地が現れることにより、普段は島になっている二ツ亀島と佐渡島が陸続きになります。この自然地形を「陸繋砂州(りくけいさす)」または「トンボロ」と呼んでいます。

陸続きになった二ツ亀島

全国には陸繋砂州がみられる場所がいくつかあり、静岡県の堂ヶ島や香川県小豆島のエンジェルロードなどがよく知られています。また、海流の浸食や運搬作用によって砂礫が堆積し、北海道の函館山のように沖にある島と繋がることもあります。

堂ヶ島

エンジェルロード

函館山と函館市街

陸続きになっているポリゴンの属性を確認すると「長狭物不明」になっています。「長狭物(ちょうきょうぶつ)」とは、道路、河川、里道、水路、鉄道線路等の細くて長い敷地を持つものを指しており、主に公共のものに対して設定されているのが特徴です。また、長狭物という言葉は地籍調査で独自に使用する用語のため、一般で使われることはありません。

通常の地番とは異なり、長狭物の区域では、地図証明書を作成することも登記簿請求することもできません。ただ、二ツ亀の陸繋砂州に登記所備付地図データのポリゴンがあることで、この珍しい地形が地図上に強調して表されています。

出典:
国土地理院撮影の空中写真(2020年撮影)
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成

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