MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。
◆No.30 砺波平野の散居村(富山県)~先人たちの知恵が結実した集落形態の筆~
富山県の西部に位置する砺波(となみ)平野は、庄川と小矢部川によって形成された扇状地が広がる平野です。地図で砺波平野を見ると、長方形の筆(土地)が並んだ中に、小島のようにポツポツと点在する筆(土地)を見ることができます。これは散居村と呼ばれる集落形態です。
散居村とは、広大な平野の中に建つ屋敷林に囲まれた家々のことで、砺波平野では7,000戸を超える家々が点在していると言われています。散居村は自分の家の周りの土地を開拓し米作りを行ったことが由来とされています。田んぼが家の周りにあることで、田植えから稲刈りまで全ての農作業を効率的に行うことができました。
また、家を囲う屋敷林は夏の日差しや冬の吹雪から家を守るだけでなく、落ち葉や枝木は炊事や風呂などの燃料として、また、家の建材として利用されました。このように散居村は、日常生活に必要な多くの物資の自給自足を可能にした、先人たちの暮らしの知恵が結実し継承されてきた集落形態といえます。
改めて地図と空中写真を見ると、圃場整備された田畑の長方形の筆(土地)が並んだ地域に、不規則に散った屋敷の四角い筆(土地)が存在しており、散居村の集落形態の特徴が良く表われています。
散居村展望台・展望広場
閑乗寺公園
もし、砺波平野に広がる散居村の景色を見るなら、散居村展望台・展望広場や閑乗寺公園がお薦めです。それぞれの展望台からは砺波平野全体が見渡せるため、散居村の集落形態を実感することができます。
散居村のある砺波平野が一望できる
出典:
国土地理院撮影の空中写真(2009年撮影)
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成
「地図の雑学」
「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
> これまでの記事一覧はこちら