コラム

地図の雑学|村上城下町(新潟県)~筆から鮭のまち・村上城下町の姿が見えてくる~

MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。

◆No.22 村上城下町(新潟県)~筆から鮭のまち・村上城下町の姿が見えてくる~

日本海に面した新潟県村上市。臥牛山(がぎゅうさん)の頂にある村上城を中心に開かれた城下町です。江戸時代には、城主はたびたび交代したものの継続して城下町の整備が行われました。

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また、村上市は鮭のまちとしても知られています。城下町の北を流れる三面川(みおもてがわ)で獲れる鮭は、魚の中の魚を意味する「イヨボヤ」と呼ばれ親しまれています。村上の鮭は平安時代に京都へ献上されていたという記録があるほど古く、江戸時代には種川の制と呼ばれる自然ふ化増殖システムが発明され、村上藩の財源にもなりました。さらに明治時代に日本で初めて人工ふ化に成功するなど、鮭は村上の人々にとってなくてはならない存在でした。そのため村上では独特の鮭文化が発達し、百種類以上の鮭料理があると言われています。

城下町と鮭のまちとして繁栄した村上市ですが、今もなお、村上城を中心に武家屋敷、町屋、寺町といった町割りや、「鍵曲がり」と呼ばれる鍵の手に曲がった街路など、城下町の特徴が色濃く残されています。筆(土地)を見ると、街路に沿って間口が狭い細長い形状をした町屋の筆(土地)が見られます。また、武家屋敷や寺社の筆(土地)なども当時と同じような形で残されています。

これらの筆(土地)は、出羽街道浜通りと三国街道中通りという二つの街道が交差する要所として、街道に沿って集落が形成され、村上城を中心に武家屋敷や寺社といった町割りが行われたことを表しています。村上市で見られる筆(土地)は城下町の特徴が色濃く反映されていると言えます。

出典:
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成
大正 2 年測図同5年製版 5 万分の 1「村上」大日本帝国陸地測量部

「地図の雑学」
「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
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