コラム

地図の雑学|長崎・出島(長崎県)~扇形の筆は当時の姿を復元した世界への玄関口~

MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。

◆No.9 長崎・出島(長崎県)~扇形の筆は当時の姿を復元した世界への玄関口~

長崎県長崎市にある出島は、江戸時代に日本で唯一西欧に開かれた窓口として作られた人工の島です。出島は扇形をしていましたが、扇形の理由には「徳川家光が扇を出して見本とさせたから」や「堆積した弧状の土砂を土台としたから」とか、「波浪の影響を最小限にしようと考えたから」など、諸説あるようです。

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出島では、外国からの砂糖、毛織物類、ガラス製品、さらには陶器や染料、鉛や錫といった鉱物など、様々な品が輸入され取引されていました。一方、日本からは、金や銀、銅といった鉱物や、漆製品や醤油、酒といった食品が輸出されていました。また、砂糖の伝来によって、カステラや金平糖といったお菓子が誕生することになり、日本の食文化にも影響を与えました。さらにゾウやトラ、オウムや九官鳥といった動物たちも出島へやってきました。

海外の窓口として賑わいを見せた出島も、開国によりその役割を終えると、出島の周辺は埋め立てられ陸地に変化していきました。そのため地図を見ても、当時の島を想像することが難しくなっています。しかし、筆(土地)を見ると出島の特徴でもあった扇形に区切られていることが分かります。

現在の出島は復元整備が進められており、扇形の筆(土地)の中には出島にあった建物が復元され当時の景観が再現されています。一時は港湾改良工事や都市開発によって姿を消した出島ですが、復元に向けて現在でも整備が進められています。扇形の筆(土地)は復元整備の成果なのかもしれません。

出典:「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成

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「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
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