MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。
◆No.4 上秋月湖・令和あさくら湖(福岡県)~ダム湖に沈んだ集落の姿を偲ばせる筆~
福岡県朝倉市を流れる小石原川の上流に、鎌倉時代よりこの地を治めた秋月氏が本拠地とし、江戸時代には福岡を治めていた黒田氏によって整備された城下町「秋月」があります。秋月は筑前の小京都と呼ばれ、道路や水路が城下町の面影を残しています。また秋月城跡や城跡にある黒門、城下町になる武家屋敷など見どころも多くあり、古い町並みは重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
その秋月よりさらに上流にあるのが江川ダム、小石原川ダムです。二つのダムは連続するように造られており、洪水調節や流水の正常な機能の維持、新規利水を目的とし、筑紫平野への農業用水や福岡都市圏への生活用水を担っています。江川ダム、小石原川ダムにはそれぞれダム湖である上秋月湖と令和あさくら湖があります。小石原川の下流にあるのが江川ダムによって誕生した上秋月湖、上流にあるのが小石原川ダムによって誕生した令和あさくら湖です。
その昔、上秋月湖と令和あさくら湖がある場所には鮎帰、大河内、尾払、高野河内、馬場野、河原瀬、栗河内、稗田といった集落が存在していましたが、ダムの完成に伴い集落は湖へとその姿を変えました。地図を見ると二つの湖の中に複雑に区切られた複数の筆(土地)を見ることができます。ダムができる前の空中写真と比較をすると、当時の河道や集落内の道路、住宅や耕作地などであることが分かり、筆(土地)からは人々が生活していた集落の姿が浮かび上がってきます。現在、集落は湖にその姿を変えましたが、筆(土地)には湖になる前の集落の様子が色濃く残されています。
出典:
国土地理院ウェブサイト「地理院地図(電子国土Web)データ」(国土地理院)をもとに株式会社マップル作成
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成
「地図の雑学」
「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
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