コラム

地図の雑学 | 奈良井宿(長野県)~宿場町の特徴が色濃く残る筆~

MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。

◆No.2 奈良井宿(長野県)~宿場町の特徴が色濃く残る筆~

奈良井宿は長野県塩尻市にある中山道の木曽十一宿の一つです。中山道は江戸時代に整備された五街道の一つとして、日本橋(東京)から、草津(滋賀)で東海道と合流し京(京都)を結んでいました。奈良井宿は南北約1km続く宿場町として日本最長と言われています。

難所である鳥居峠を控えた奈良井宿は3つの町に分かれており、中心となった町には本陣や脇本陣だけでなく、問屋など商家が置かれ、多くの旅人が往来し奈良井千軒と呼ばれるほど賑わいを見せました。現在でも奈良井宿には、鍵の手と呼ばれるクランク形状の道路や、千本格子の建物が多く軒を並べており、当時の宿場町の面影を色濃く残しており、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

この場所をMAPPLE法務局地図ビューアで見てみる

MAPPLE法務局地図ビューアで地図を見ると、宿場町は街道に沿う形でJR奈良井駅から鳥居峠に向かって宿場町を形成しています。宿場町のそれぞれの筆(土地)を見ると街道に沿って間口が狭く奥行きの深い特徴的な細長い形をしたものになっています。これは当時の税の制度が影響していると考えられます。

当時の税の制度は間口の幅によって決められており、人々は税対策として建物の間口の幅を狭くしていたようです。しかし、居住空間や商業空間は確保しなければならず、奥行きを持たせることで対処しました。結果、街道に対して間口の幅が狭く、奥行きのある建物が立ち並んだと考えられます。筆(土地)の形状は当時の税の制度とそれに対する人々の生活の知恵の成果であり宿場町の特徴が良く表されています。

出典:「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成

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「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
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