COLUMN

東日本大震災から10年 「あのとき、そして今、思うこと。」連動特別企画
昭文社グループ・株式会社マップルが震災伝承ネットワーク協議会(東北地方整備局ほか)と行う「震災の経験や教訓を後世に伝える」取り組みとは?

はじめに

東北地方では、東日本大震災の教訓を学ぶため、点在する震災伝承施設をネットワークとして活用し、防災に関する様々な取り組みや事業を行う『3.11伝承ロード』という活動が進められてます。
震災伝承施設とは、上記目的のもと震災伝承ネットワーク協議会(東北地方整備局、青森県、岩手県、宮城県、福島県、仙台市)が登録している施設です。令和3年2月26日時点で271施設が登録されています。

<震災伝承施設の例>
【左】津波遺構たろう観光ホテル(岩手県宮古市)【右】気仙沼市 東日本大震災遺構・伝承館(宮城県)


マップルとしての取り組み

● 伝承ロードの取り組みに賛同し、検討を開始

2019年12月、(一財)日本デジタル道路地図協会の会合を通じて、震災伝承ネットワーク協議会より、「3.11 伝承ロード」の取り組みについてご紹介いただきました。
震災の経験や教訓を後世に伝え、「防災意識社会の構築」や地域の活性化につなげるこの活動について、当社はもちろん賛同し、その普及拡大のためどのような貢献ができるか、検討を開始しました。
その最初の対応として、現地の案内標識などへの活用が進んでいる、震災伝承施設の標章(ピクトグラム)を、当社地図に掲載できないか考えてみました。

まずは既に登録済みの震災伝承施設が、当社地図上でどのように表現されているか確認してみましたところ、いくつかの施設は既に地図に収録済みであることがわかりました。

相馬市伝承鎮魂祈念館(福島県)

津波遺構たろう観光ホテル(岩手県宮古市)

東日本大震災メモリアル南浜 つなぐ館(宮城県石巻市)

ただ、地図上に注記(文字情報)として表現したものですので、一見して被災の実情や教訓を学ぶことのできる施設であると気づくのは、難しいかもしれません。
また、専用の地図記号も存在しません。
この点、ピクトグラム(以下イメージ)を掲載することで、テーマを強調することができそうです。

共通ピクトグラム

次に、具体的にどのように地図に載せるのかについて検討しましたが、すぐに「専用のジャンルを設けるのか?」「他地域の震災遺構と区別するのか?」といった、地図データを構築する上の悩みにあたりました。
当社の地図データは、出版物・カーナビゲーションなど、幅広い商品・サービスでご活用いただいており、一部の施設は上記のとおり当社の従来の取得基準にて既に収録されています。従って、これまでの収録内容からの継続性も考慮しつつ、今回の震災伝承施設を追加で登録するには、データ設計に時間がかかりそうです。

● ラボサイトの活用検討

そこで、2020年7月にオープンしたばかりの当社ラボサイトを活用することで、震災伝承施設の情報を、当社地図と重ね合わせて迅速に公開する対応を優先することにしました。

ここで、マップルラボについて少し紹介させていただきます。
マップルラボは、マップルの持つ技術を活用した様々な機能、開発中の地図データベースなどを公開し、その有用性や可能性をお確かめいただく目的で開設したものです。

MAPPLE LABS

現状はデモサイトとなりますが、オープンデータとの重ね合わせ表示(図1)や、当社ルートエンジンのお試し機能(図2,3)といった機能を、自由にお試し頂けるサイトです。また、今後も新規機能の追加を予定しておりますので、ご期待いただければと思います。

図1 オープンデータとの重ね合わせ表示(以下イメージは「国土数値情報の洪水浸水想定区域データ」)

図2 複数の経由地を選定して、効率よく巡るルートの生成

図3 地図上に引いた線に沿ったルートの生成

● マップルラボへの搭載と表示の改善

さっそく、2020年12月時点で登録されている240施設のうち、第2・第3分類のピクトグラムと施設の基本情報をラボサイトに載せてみました。
東北地方を全域表示してみると、震災伝承施設が広範囲に存在することが一目で分かり、改めて震災の規模の大きさを実感しました。

東北地方全域表示

岩手県宮古市田老地区 周辺を拡大表示

また、ピクトグラムをクリックした際に、施設名称や所在地などの基本情報も、表示できるようにしました。

ただ、ピクトグラムと名称だけでは、震災伝承施設がどのような経緯により登録されたのか、また、各施設で得られる教訓や知識をお伝えすることができません。
そこで、各施設の情報画面から、震災伝承ネットワーク協議会が公開している各伝承施設の詳細開設サイトへのリンクを設けることについて、事務局に相談しましたところ、ご快諾いただけました。
これにより、ラボサイトの地図に、震災伝承施設の一覧表示の機能を持たせることができるようになりました。

地図表示画面はそのまま残っていますので、連続して近くにある伝承施設を参照することもできます。
今回は、ここまでの対応をおこなったところで、ラボサイトに公開することにしました。

● 対応の振り返り、と今後の予定

改めて今回の取り組みの中で、各地域において震災遺構の保存・活用の取り組みが進められ、また、被害や復興への歩みを伝える語り部など、命を守る教訓を伝える活動が各地で行われていることを実感しました。

東日本大震災は、日本人がこれまでに経験したことの無い規模で多くの人が命を落とした未曽有の大災害であり、未来永劫、決して風化させてはいけません。当時の状況をしっかりと後世に語り継ぎ、二度と同じような被害を生まないためにも、震災伝承施設は大変重要な意味を持つものと考えています。

また震災伝承施設は、2021年2月2日の追加登録により、登録総数が271件となりました。今後も伝承施設の登録は続きますので、ラボサイトへの追加反映の準備を進めます。

マップルはひきつづき、当社が保有する技術・サービス・コンテンツを活用し、震災伝承施設の認知度向上に向けて取り組んでまいります。
皆さんも機会がありましたら、是非一度、震災伝承施設に足を運んでみていただければと思います。

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