MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。
◆No.42 嘉手納ロータリー(沖縄県)~円い筆は日本一巨大だった円形交差点の名残~
その昔、沖縄県には日本一巨大なロータリー(円形交差点)がありました。沖縄本島中部の嘉手納町は、広大な敷地を持つ米空軍基地・嘉手納基地がある町として知られていますが、地図で嘉手納町を走る国道58号を見ると、嘉手納町役場の近くに国道58号と沖縄県道74号線の大きな三叉路の交差点があります。この交差点にあったのが「嘉手納ロータリー」です。嘉手納ロータリーは、直径が120mの日本一巨大なロータリーとして知られていました。
ロータリー交差点とは、中央にある円形地帯に沿って車両が通行し、行き先を変えていくドーナツ状の道路です。最近では似た形の道路としてラウンドアバウト(環状交差点)が各地に整備されていますが、嘉手納ロータリーは、太平洋戦争の終結後、アメリカ軍によって道路が整備された際に、西洋式の交通方式として誕生しました。
高度経済成長期を経て、鉄道がなかった沖縄の交通の主流は自動車になりましたが、嘉手納ロータリーは、その巨大さゆえに走行性が悪く、交通渋滞を引き起こし、交通事故を誘発する原因の一つとされました。そのため、交通渋滞の緩和と交通事故の軽減を図るために改良されることになり、嘉手納ロータリーは三叉路の交差点として生まれ変わり、その姿を消すことになりました。
嘉手納ロータリーがあった場所を古い空中写真で見ると、円形の筆(土地)より外側に綺麗な円を描く道路があったことが分かります。現在、嘉手納ロータリーの跡地には、ロータリー広場と呼ばれる円形の緑地と、緑地を中心として行政機関や複合施設が建っていますが、地図には円の一部だった扇形や円弧の境界をもった筆(土地)が設定されており、嘉手納ロータリーの名残として、その存在を今に伝えています。
出典:
国土地理院ウェブサイト「地理院地図(電子国土Web)データ」(国土地理院)をもとに加工して作成
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成
「地図の雑学」
「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
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