MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。
◆No.10 三富新田(埼玉県)~筆から江戸時代のエコロジーな生活が見えてくる~
三富新田は埼玉県所沢市と三芳町地域にまたがり、江戸時代に川越藩主であった柳沢吉保が推進した新田開発によって上富、中富、下富とそれぞれの新しい村が誕生し、3つの「富」より三富と呼ばれています。
三富新田には、痩せた土壌と水に乏しい決して豊かとは言えない土地を、様々な知恵を結集して克服した歴史があります。三富新田では一つの区画に対して屋敷地・耕作地・平地林(雑木林)を組み合わせていました。そのため土地の形状は細長い形状になりました。
屋敷地には竹・カシ・ケヤキなどが植えられ、材木は農耕具など生活に必要な建材として、実は食料として、また地面に張った根は地震など災害対策と保水力の向上に繋がりました。耕作地ではウツギやお茶を植えることで季節風から畑を守り、お茶については重要な作物として収穫されました。また、平地林(雑木林)ではコナラやクヌギといった木々が植えられ、落ち葉は堆肥として、枝は薪炭材として利用されました。
このように三富新田では、生活するための知恵を結集した結果、無駄のないエコロジーな循環型集落が形成されることになりました。現在の地図で筆(土地)を見ると、当時の土地構成の形がそのまま筆(土地)として表されています。そのため筆(土地)を見れば、当時の人々の知恵が結集して誕生したエコロジーな循環型集落の痕跡を見ることができます。
出典:
国土地理院撮影の空中写真(2020年撮影)
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成
「地図の雑学」
「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
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