年末になると、ふるさと納税が活況を呈してきます。かに、ウニ、ホタテなどの魚介類に霜降りの牛肉・・・ふるさと納税サイトの人気ランキングには、さながら高級食材のECサイトと言っても過言では無いくらいの返礼品がラインアップされています。
総務省がまとめた令和2年度のふるさと納税による寄付額は約6725億と前年比1.4倍※となり、寄付額は年々増加しています。以前は観光クーポンなど体験型の返礼品も人気だったものの、2020年からの新型コロナウイルスの感染拡大を受け、返礼品は食品などモノへと回帰傾向になりました。
上記のような様々な地元食材を活用した食品の返礼品ももちろん魅力的ですが、感染症が落ち着いてGoToトラベルの再開も囁かれている中で「コト消費」への関心の高まりも感じられます。各ふるさと納税サイトの旅行カテゴリの返礼品には、宿泊券や現地で使える商品券はじめアクティビティまで豊富にラインアップされています。
※出典:令和3年7月30日 総務省発表「令和3年度ふるさと納税に関する現況調査について」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/file/report20210730.pdf
株式会社マップル観光ガイドデータ紹介ページより
利用者にとっての体験型返礼品の魅力とは?
コロナウィルスの感染拡大によって、しばらく旅行に行けていないという方も多いと思いますが、コロナ前は年に一度は必ず旅行に行くという方も多かったのではないでしょうか。体験型の返礼品は、そんな毎年の恒例行事である旅行にふるさと納税が活用できるため、人気返礼品の一つとなっています。
▼体験型返礼品の例(2021年12月29日現在)
「グリーンツーリズム体験」農家民宿ペア宿泊券(1泊2食付 体験付)
https://www.furusato-tax.jp/product/detail/46452/4646274
※ふるさとチョイスより
マホロバマインズ三浦 1泊2食ペア宿泊券
https://www.satofull.jp/products/detail.php?product_id=3011574
※さとふるより
赤目四十八滝 忍者修行体験+赤目渓谷入山ペアチケット(2名様)
https://www.furusato-tax.jp/product/detail/24208/4867825
※ふるさとチョイスより
上記のようにホテルの宿泊券だけでなく、アクティビティや体験型のスポットが多いことも魅力の一つとなっています。「旅育」のような言葉もありますが、農業体験や忍者体験などは子供にとって貴重な経験になるものと思いますし、今後は旅行行程の半日はふるさと納税を活用した体験をするような旅のスタイルなども一般的になってくるかも知れません。
自治体にとっての体験型返礼品の魅力とは?
体験型ふるさと納税のメリットは、決して利用者の視点だけではありません。寄付を受ける自治体にとっても、そのメリットはとても大きいものと思います。いくつかの観点で見てみましょう。
■自然や文化などの観光資源を活用できる
日本には食や文化、四季折々の自然や風土があり、日本全国どこに行ってもその土地ならではの魅力にあふれています。コト消費である体験型返礼品は、このような自然や文化などを活用したものが多く、著名な特産物などに依存しない返礼品を造成することができます。
■来訪者は地域での様々な消費活動を行う
「モノ消費」と異なり、実際に利用者が現地を訪れるため宿泊や観光などに対する波及効果が非常に大きくなります。例えば農業体験の返礼品を体験しに来た利用者は、その前後に地元の特産品を購入したり、そのまま宿泊していく人も多くいます。つまり寄付額という直接収入以外の経済効果が大きく出るのが体験型返礼品と言えるのです。
■さらに旅アトでのモノ消費にも繋がる
もちろん、ふるさと納税の寄付先は出身地でなくても問題ありません。今年、ことりっぷメディアが実施したアンケートによると、旅行に行った方は、その旅行先をふるさと納税先に選ぶ傾向が高いことが分かりました。
※ことりっぷ編集部「旅とふるさと納税」をテーマに実施した意識調査の結果
https://www.mapple.co.jp/blog/16342/
「推し活」なども流行っていますが、旅行後にも旅行先を”推し自治体”としてふるさと納税を行っていただくことで、さらに自治体の財源となるのはもちろん、より強固な関係人口の創出にも繋がります。
自治体が体験型返礼品を作るには?
では、自治体や地域が魅力的な体験型返礼品を作るにはどうしたら良いのでしょうか。
各地域に既にあるアクティビティなどの体験型観光施設はもちろん魅力的な返礼品ですが、飲食店の食事券やテーマパークの入場券なども返礼品として活用することができます。
体験型返礼品の効果を最大化するには、返礼品を体験しに来た人に、その周辺エリア全体の観光を楽しんで頂くための仕組み作りや工夫が必要です。マップルとしては、複数のスポットを組み合わせたパッケージプランの造成をお勧めしたいと思います。
体験型施設、飲食店、お土産、宿泊など複数の返礼品対象のスポットを組み合わせることで、その土地を目一杯楽しんでもらえる旅行プランを作ることが出来ます。このようなプランを造成する際に大事なのは、テーマやコンセプトですが、マップルではユーザー層に合わせたテーマやコンセプト作りから、プランニングのサポートなども行っています。
また、エリア全体の観光パンフレットなどを作成して返礼品に含めることも一つの方法です。こうすることでエリア全体の訴求が可能となり、より経済効果を高めることにも繋がります。
また、マップルの取り組みの一つとして、ソニー株式会社のSound AR™アプリケーション「Locatone™(ロケトーン)」を活用した観光ソリューションを提供しています。Locatoneでは観光地の魅力が詰まった周遊ツアーを作ることができますので、このようなサービスを展開しておくことで、返礼品の体験で訪問された方をよりスムーズに周遊観光に繋げる導線作りを行っていただくことも出来ます。
Locatone活用事例:三重県名張市さま「名張コバソロ旅」※実施期間 2021年10月23日(土)~2022年1月31日(月)
最大の効果をあげるために
ここまで体験型返礼品の様々な効果やメリットについて述べて来ましたが、自治体にとって大事なことは、一見さんを増やすだけでなく、体験型返礼品によって来訪してもらった方に再度訪問してもらったり(リピーターの創出)、モノの返礼品利用に繋げたり(関係人口の創出)、最終的には移住していただくような流れを作って行くことだと考えています。
そのためには”体験型返礼品で訪問した方の満足度を最大化すること”が求められます。
マップルでは観光ガイドコンテンツやSNSの利活用、観光客分析サービス「Travelers’ Mind(トラベラーズマインド」の提供などを通じて「ファン作りとファンの育成」もサポートしております。
これからも地方創生に積極的に取り組み、現地に行く・体験する「コト消費」である体験型返礼品の効果を最大化する活動に貢献してまいります。
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