地図の雑学|大社駅・旧大社線(島根県)~縁結びの神様へ、神話の国を走った鉄道~

2026年03月06日配信

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MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。

◆No.94  大社駅・旧大社線(島根県)
~縁結びの神様へ、神話の国を走った鉄道~

島根県出雲市といえば、縁結びの神様として知られる出雲大社がある町です。出雲大社の大鳥居から南に伸びる道には飲食店やお土産屋、宿泊施設などが立ち並び、賑わいを見せています。地図を見ながら、出雲大社の南に目を向けると縦長に大きな筆(土地)を見つけることができます。そこには「旧大社駅」の文字と建物が表記されています。現在、出雲大社の最寄りの駅は一畑電車の出雲大社前駅ですが、かつて出雲大社へ向かう鉄道は一畑電車だけではありませんでした。 

松江と出雲を走る「一畑電車」松江と出雲を結ぶ「一畑電車」 

その昔、出雲大社に向けて大社線(国鉄・JR西日本)と呼ばれた路線が、JR出雲市駅から走っていました。地図で見つけた大きな筆(土地)は、大社線の終着駅であった大社駅のものです。大社駅は1912年(明治45年)に大社線の開通とともに開業し、東京や大阪、名古屋といった大都市から直通列車が乗り入れ、出雲大社の玄関口として多くの人で賑わいを見せていました。現在も残る旧大社駅の広大な筆(土地)からは、長い編成を持つ列車が乗り入れていたことが想像できます。 

縁結びの神様として名高い「出雲大社」縁結びの神様として名高い「出雲大社」 

このように大社線は、出雲大社に詣でる人々で活気に満ちていました。しかし、モータリゼーションの発展とともに鉄道を利用する人は徐々に減り、その影響は大都市からの直通列車も廃止に追い込まれました。そして1990年(平成2年)に大社線は廃止となり、その歴史に幕を下ろしました。

大社駅_筆旧大社駅の筆

 

廃線後、大社線の跡は道路などに姿を変えていきました。今では大社線の遺構が点々と残るのみで、当時列車が走っていたルートは人々の記憶と記録に残るだけになりつつあります。しかし、地図にはJR出雲市駅から大社駅があった方へ分岐していく鉄道跡の筆(土地)を見ることでき、大社線が走っていたルートを今でもたどることができます。 

純和風のデザインが特徴的な旧大社駅純和風のデザインが特徴的な旧大社駅 

 

地図に残る大社線の痕跡の中でも、特に大社駅があった場所の筆(土地)は、今でも大規模な終着駅であったことを色濃く残しています。現在、その地には大社駅の駅舎が保存されており、木造建築に黒い屋根瓦と漆喰の白壁といった純和風のデザインが特徴です。一歩足を踏み入れると、待合室や切符売り場など、和洋折衷の趣のある部屋を見ることができます。また、駅構内には長いプラットフォームも残されており、長い編成を持つ列車がやってきた様子や、出雲大社の玄関口として賑わいを見せていた当時の姿を感じ取ることができます。

大社線は出雲大社へ多くの人々を運び活躍しましたが、時代の流れとともにその姿を消しました。しかし、地図には大社線の跡が今でも残されており、保存されている旧大社駅ともに当時の賑わいを今に伝えています。 

出典:「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成
 

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