地図の雑学|イオンモール沖縄ライカム(沖縄県)~地図から紐解く歴史と再開発の物語~

2026年02月20日配信

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MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。

◆No.93  イオンモール沖縄ライカム(沖縄県)
~地図から紐解く歴史と再開発の物語~ 

沖縄県北中城村にあるイオンモール沖縄ライカムは、200店舗を超える専門店が集まる沖縄県内でも最大級の商業施設です。沖縄自動車道からのアクセスも良く、主要幹線道路とも面しており、県庁所在地の那覇市や沖縄本島中部の主要都市である沖縄市からもアクセスが良いため、県民だけでなく多くの観光客で賑わっています。しかし、地図でこの巨大な商業施設を見ると、その土地の再開発を物語る特別な手法が隠されていることがわかります。

イオンモール沖縄ライカム

ここの施設の土地は、「短冊換地(たんざくかんち)」という手法で形成されています。短冊換地とは、一つの広大な土地を細長い短冊状に細分化し、複数の地権者が所有する手法のことです。イオンモール沖縄ライカムの敷地を地図で見ると、細かく区切られた筆(土地)が整然と並んでいるのが確認できます。この手法には、土地を多くの所有者で共有することで、施設の長期的な安定利用を可能にするというメリットがあります。このような短冊換地を行った巨大な商業施設は、他にも埼玉県越谷市のイオンレイクタウンや、千葉県習志野市の奏の杜フォルテなどがあります。

越谷レイクダウン

奏の杜フォルテ

では、なぜこの沖縄の地で短冊換地が採用されたのでしょうか。その理由の一つは、この土地が持つ歴史に関係があると考えられます。実は、イオンモール沖縄ライカムの場所には、かつて米軍関係者専用の「キャンプ瑞慶覧アワセゴルフ場」がありました。この広大な米軍用地が日本に返還されることになり、地域の新たな顔となるべく再開発の計画が進められたのです。

イオンモール沖縄ライカム(空中写真)

米軍用地の返還は、多くの地権者や関係機関が関わる複雑なプロセスです。所有権が混在していることも多く、土地の利活用を円滑に進めるためには、所有権を整理し、共有しやすい形に再構築することが有効な場合があります。そこで、複数の地権者が一体となって土地利用を進めることができる短冊換地の手法が、この再開発にとって最も適したモデルケースだったと考えられます。

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施設の名称である「ライカム」も、この土地の歴史と深く結びついています。これは、イオンモールができる前に存在した琉球米軍司令部(Ryukyu Command headquarters)の通称「Rycom」に由来しています。施設周辺には現在も「ライカム交差点」が存在し、住所も「字ライカム」に変更されるなど、この名称は地域に深く根付いています。このことからも、新しい施設が単に建設されたのではなく、地域の歴史や文化を継承しながら、新しい街づくりがなされたことがわかります。

イオンモール沖縄ライカムは沖縄を代表する商業施設ですが、その筆(土地)の形や名称一つひとつに、米軍基地の返還、地域の再開発、そして新しい街づくりの歴史と物語が刻み込まれているのです。

 

出典:
国土地理院ウェブサイト「地理院地図(電子国土Web)データ」(国土地理院)をもとに加工して作成
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成
 

「地図の雑学」
「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
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