コラム

地図の雑学|松江城(島根県)~国宝・松江城天守の筆~

MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。

◆No.63 松江城(島根県)~国宝・松江城天守の筆~

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筆(土地)には建物の形状が、そのまま筆(土地)として設定されていることがあります。島根県松江市にある松江城には、天守の形状が筆(土地)として設定されています。松江城は2015年(平成27年)に国宝に指定され、姫路城・松本城・犬山城・彦根城と合わせて国宝天守5城の一つに数えられています。

松江城(島根県松江市)

姫路城(兵庫県姫路市)

松本城(長野県松本市)

犬山城(愛知県犬山市)

彦根城(滋賀県彦根市)

全国には現存する天守は12城ありますが、江戸時代に発せられた一国一城令によって、多くの城が廃城となりました。その後、明治時代には廃城令により民間に払い下げられ、多くの城が取り壊されました。さらに、第二次世界大戦(太平洋戦争)では空襲によって、かろうじて残っていた城も焼失しました。松江城は、これらの困難を乗り越えて残った貴重な城であると言えます。

松江城の築城にあたっては、1611年(慶長16年)に堀尾吉晴によって、宍道湖畔にある低い丘陵地に造られました。松江城の築城に伴い、城下には城下町が整備され、現在の松江の基礎が築かれました。明治時代の廃城令によって、松江城にあった建物は取り壊され、天守も売りに出されました。天守は取り壊される危機に直面しましたが、地元の豪農や旧藩士たちによって買い戻され、修理が施されました。現在、松江城の姿を見ることができるのは、この時の出来事が大きく影響していると言えます。

青丸が「松江城」天守の筆

松江城には本丸や濠など、城郭を示す筆(土地)が多く見られますが、中でも青丸で示した天守の筆(土地)は特徴的です。凸を逆さにした形をしたこの筆(土地)は、建物の形を筆(土地)に設定したもので、下部の出っ張った所には「附櫓」と呼ばれる建物があります。櫓は天守の防御力を高めるために取り付けられたもので、外部からの侵入を防ぐためのさまざまな仕掛けが施されています。
松江城の天守は、4重5階、地下1階の望楼型です。その美しさや魅力は、他の国宝の城にも劣りません。特に、松江城の最上階からは宍道湖や松江市街などの絶景が一望でき、季節を問わず一度は訪れてみたい魅力のある城です。

出典:「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成

「地図の雑学」
「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
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