コラム

業務用カーナビSDKの進化は止まらない!最新バージョンのご紹介と使い方、そして今後の展望。

配送や運送などの業務利用向けに特化したマップルの「業務用カーナビSDK」は、業務効率化や安全運行支援をはじめ様々なシーンで活用いただいています。6月にWEB上で実施した活用セミナーにも大変多くの方にご参加いただき、改めて業務上でカーナビの利用が重要視されていることが分かりました。
今回は、ウェビナーに登壇した開発担当の佐光とともに、ウェビナーの内容を振り返りながら、マップルの業務用カーナビの有用性について掘り下げていきたいと思います。

過去に開催したウェビナーはアーカイブ配信を行っています。ご希望の方はお申込みボタンより進み、必要項目をご登録ください。追ってメールにて視聴URLをご案内いたします。

 目次 
業務用カーナビ活用セミナーについて
最新バージョン6.0の新機能について
業務用カーナビSDKの特徴的な機能ついて
業務用カーナビSDKの目指すところ


業務用カーナビ活用セミナーについて

─ 業務用カーナビ活用セミナーの反響はいかがでしたでしょうか。

そうですね、物流関連の企業様や開発会社様まで多くの方にご参加いただき、今後の参考になったというご意見や新規のお問い合わせもいただきましたので、準備は大変でしたが、少しでもお役に立てていれば良かったと思っています。

─ 今回のウェビナーで心掛けた点やポイントについて教えてください。

業務用カーナビSDKをマップルのウェビナーで取り上げるのは今回が初めてということもありましたので、大きく2つのポイントを意識しました。
1つ目は、現在業務用カーナビSDKを使ってくださっているお客様に、最新バージョンはどのように進化したのか、変わったところは何か、ということをお伝えするということです。
2つ目は、業務用カーナビSDKをこれまでご存じなかった、使ってみたことがないお客様に、特徴的な機能のご紹介とその使用例をお見せすることで興味を持っていただきたい、ということです。

─ 最新バージョンの進化したところ、特徴的な機能とはどのようなものでしょうか。

まず進化したところとして取り上げたのは「規制標識データの格納と利用範囲の拡大」です。これまでの車種規制以外の規制情報も取り込みました。また、特徴的な機能としては、「巡回ルート探索機能」と「緯度経度点列ルート探索機能」の2つを取り上げました。

最新バージョン6.0の新機能について

─ 規制標識データの格納と利用範囲の拡大について、詳しく教えてもらえますか。

車種規制情報(大型車・普通車など)を加味したルート探索は以前から行っておりましたが、業務用車両をより正確に誘導するには、車種だけでなく道路標識にある様々な通行規制情報を盛り込むことが必要でした。
今回のバージョンアップで、「車幅制限」、「高さ制限」、「重量制限」、「危険物積載車両通行止め」の4つの規制情報をデータとして搭載しました。事前に車両情報を登録していただくことで、これまでよりもより実際の規制に則したルート探索が可能となりますので、トラックや特殊自動車などの大型車両を運行される事業者様に適切なルートをご案内できるようになります。ちなみに、設定する車両情報については「車高」「車幅」はcm単位、「車重」はkg単位で設定できますので、かなり正確な規制情報に対応することが出来ます。

今回追加された規制情報(左から 車幅制限、高さ制限、重量制限、危険物積載車両通行止め)

─ なるほど、確かに規制情報は業務車両の運行には必要不可欠な情報ですよね。このような規制情報に対応することで、利用者様の安全運行にプラスになるのはもちろんですが、その他のメリットなどはありますか?

これまではルート探索結果を元に規制があるか、また通行可能な規制かを別途確認する必要がありましたが、最新バージョンを活用いただければ、このような確認作業を大幅に低減できます。このことは大型車両を利用される物流事業者様や緊急自動車などの車両運行に関わる時間的コストの圧縮し、効率化と安心・安全に大きく貢献出来るものと考えています。

規制考慮なしのルート

最新バージョンで実現できる、規制考慮されたルート。

─ 確かにそうですね。これ以外にも最新バージョンで追加された機能はありますか。

道路情報の取得機能を追加しました。ちょっと分かりにくいかも知れませんが、よくカーナビで「この先急カーブです」とか「この先に事故多発交差点があります」と言った案内が出ることがありますよね。これは今の車両位置とその先にある注意ポイントの位置情報をもとに情報を出しているので、必ずしもその道路を走行しているかどうかは判別できませんでした。最新バージョンでは、任意の地点に接する道路を走行しているかどうかを判定することができますので、様々なシーンでよりその場の走行状況に合わせたアクションを発生させられると考えています。

─ なるほど、少し難しいですが、具体的にはどのような活用が想定されていますか。また、ユーザーにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

分かりやすく言うと、任意の地点に対してより適切な警告や案内を行うことができます。自車位置と任意の地点の距離などを計算して判断するという従来の手法では、「距離は近いが別の道路を走行中(通過予定)なので不要」という場合も案内を行ってしまいました。
最新バージョンでは、任意の地点に面する道路の情報と自車が走行中の道路の情報を取得可能としました。距離だけではなく任意の地点に到達しうる道路を走行中かどうか、という判断を行えるようになります。具体的な利用イメージとしては、例えば、施設点検業務において、点検ポイントへの接近を知らせて作業者の方に準備を促す、あるいは走行において注意すべき箇所、例えば事故多発交差点などへの接近時に注意を促すといった使い方を想定しています。これらはうっかりミスの削減や業務で走行している際の安全性の向上といった点で事業者様の業務改善に貢献いたします。

従来の手法でのアナウンス

最新バージョンでのアナウンス

業務用カーナビSDKの特徴的な機能ついて

─ ありがとうございます。それと、ウェビナーでは特徴的な機能として2つ挙げていましたよね。これらについても教えていただけますか。

はい、「巡回ルート探索機能」と「緯度経度点列ルート探索機能」ですね。
「巡回ルート探索機能」はその名の通り、複数地点をどの順番で回れば効率的(=コストが低い)かを自動計算する機能です。巡回探索自体は様々な手法で計算がされていますし、システム全体でみれば実現されていることも少なくありません。しかし、これまで主に別のシステムやアプリで順序を計算し、それをナビに伝えてルートを作成する、というのが主な使い方でした。近年ではその点を改良してカーナビ自体で自動計算まで行ってしまうのが主流となりつつあります。得られる計算結果は厳密な最適ルートでない可能性もありますが、実運用上では問題ない精度を持っています。この機能を利用することで、「順序を考える時間を削減できる」、またシステム構築において計算処理をナビ側に委ねることで開発工数を削減できるというメリットがあります。

巡回ルート探索機能

─ これは業務で利用する車両にとってとても重要な機能ですよね。特にどのようなシーンを想定されていますか?

そうですね、利用シーンとしては様々ですが、やはり一番は配送業務の効率化だと思います。物流などにおいて配送先の拠点数が多くなっている傾向がありますので、巡回ルート探索機能を利用して出来るだけ多くの拠点を効率的に配送できる環境作りを支援したいと思っています。特にマップルの業務用ナビでは最大200か所まで拠点を設定できますので、あらゆる配送業務に対応可能と考えています。
これまでカーナビは出発地と目的地の2点間を確実に誘導することが求められてきたわけですが、今のECの利用拡大に伴う配送量の増加などの環境に対応するためのソリューションとしては、それだけでは不十分だと思っています。マップルの業務用のカーナビとしては、このような新しい環境にもしっかり対応していきたいと思います

─ なるほど、よく分かりました。もう一つの「緯度経度点列ルート探索機能」というのはどういうものですか?

緯度経度点列ルート探索機能は、業務用カーナビSDK以外のシステムとルートを共有するときに非常に有用です。ウェビナーでもお伝えしましたが、システム全体で常に同じ環境(データ、モジュール)でルートを算出できるとは限りません。そこで、異なる仕組みにおいても意図した通りにルートを引き、案内を行う為に利用します。
緯度経度の点列は基本的に環境が異なっても一意に決まりますので、結果を共有することが可能です。例えば本部の経路探索装置に合わせてナビを全台入替せずとも運用を継続することができます。

緯度経度点列ルート探索機能

業務用カーナビSDKの目指すところ

─ 業務用カーナビSDKの新機能や特徴については、良く分かりました。もう一点、マップルでは「配走ヘルパー」という製品も出していますが、この製品との違いを教えていただけますか。
 
少し分かりにくいかも知れませんね。簡単に言うと、「業務用カーナビSDK」はお客様の利用用途や応じて開発させていただく開発キットで「配走ヘルパー」はパッケージ型のカーナビ製品となっています。企業様の利用に合った形でしっかりカーナビを開発したい場合は、「業務用カーナビSDK」で専用に開発し、安価に短時間でナビを導入したいお客様は「配走ヘルパー」も検討していただけると良いかと思います。
配走ヘルパーについての詳細は、こちらも私が1月にセミナーでご紹介していますので、是非アーカイブ配信でご覧いただければ幸いです。

 

─ ありがとうございます。最後になりますが、佐光さんとして、業務用カーナビは今後どのようにあるべきと考えますか。

カーナビに求められる機能は時代と共に変化しています。初期のカーナビは自車位置を元に道案内が行えれば十分でしたが、進化の過程で周辺装置との連携やコンテンツの格納といった機能が追加され、またそれが当たり前となってきています。さらに最近では車両のあらゆる操作、情報表示を一元管理する設備の一機能となっています。
業務用途のカーナビにおいても同様で、ホストアプリや管理システムと連携することで、物流や緊急機関などに向けたソリューションの一部として使用されることが主となっています。ご利用いただくシーンを注視し、お使いになるユーザー様、開発されるデベロッパー様双方にメリットのあるものにしていく必要があると考えます。

─ なるほど、確かにそうですね。そのような環境の中で、マップルの業務用カーナビSDKは今後どのように進化していくのでしょうか。

繰り返しになりますが、最近までは「これで十分」と思っていた機能が、近い未来には不十分な機能になっていくほど、市場の要望、要求とそれに応える速度は上がってきています。幸い、我々のお客様からも要望を頂いており、それは今後の進化に向けた重要な種となります。「カーナビとして求められること」はもちろん、システムに組み込んで使用するという視点も持って継続的に機能追加、改善を進めていきます。
直近ではネットワークデータの編集機能の実装に向けてプロジェクトを進めています。より多くのお客様にお使いいただき、業務の効率化、最適化に貢献いたします。

 


 
ウェビナーをアーカイブ視聴いただけます
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追ってメールにて視聴URLをご案内いたします。

 


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