大阪ガスネットワーク株式会社さま

抱えていた課題

関西地方を中心に広範なガス供給を担う大阪ガスネットワーク株式会社さまでは、道路に埋設されたガス管の維持管理の一環として、地中ガス管の漏洩検知・修理を目的とした定期検査を年間2万kmにわたり実施されています。
従来はカート式ガス検知器を用いた歩行検査が行われておりましたが、1日あたり20kmもの検査は作業者の時間的・身体的負担が大きいものでした。

そこで、検査スピードの向上を図るために、自動車で可能な検知方式を導入されました。
具体的には、レーザー分光式検知器を自動車に搭載し、走行中のガス濃度をリアルタイムで測定、走行後にガス漏洩地点・時刻・濃度等のデータを自動出力するシステムです。これにより、時速30kmでの走行においても高精度な検知が可能となり、検査速度は大幅に向上しました。
狭い道路など自動車では走行しづらいエリアに対しては、小型の検知器を自転車へ応用し、検査の高速化を図りました。

しかし、検査スピードが向上した一方で、図面照合によるガス管位置の確認や、手作業による検査済ルートのマーキングなど、事務処理や補助作業の負担は依然として課題として残りました。

課題解決 -専用ナビゲーションシステム導入前と導入後の変化

そこで、自動車による検査をサポートする専用ナビゲーションシステムが開発されました。その際にご利用いただいたのが「業務用カーナビSDK」となります。
課題であった形状指定でのルート生成およびそのルートのナビが実現可能であったことが、ご導入のきっかけでした。

★ 検査前：スムーズな走行のため、手作業でルート策定 ⇒　導入後：ルートを自動生成
時速約4kmの歩行検査と異なり、車両での検査は急な停止交代などが危険であるため、スムーズに走行するためのルート策定が必要です。当初ルート策定は手作業によるものでしたが、ナビシステム導入後は独自開発のロジックにより、検査エリアを指定するだけでルートを自動生成することができるようになりました。算出されたルートは一方通行や時間規制などが考慮され、効率的にガス管を網羅するものとなっています。

★ 検査中：ルート案内や記録のため、補助者が必要 ⇒　ナビシステムがルート案内、検査記録
走行中は、ルートの案内や記録などの役割を担う補助者の同行が必要でした。一方、ナビシステムは補助者に代わってルート案内記録を行うため、システム導入後はドライバー1人だけでの走行が可能になりました。

★ 検査後：報告用図面を手書きで作成 ⇒　記録した走行履歴をもとに検査結果の図面を自動生成
以前は、検査後は走行中の記録をもとに報告用図面を手書きで作成していました。こちらも、ナビシステムが走行履歴をもとに報告用図面を生成するようになり、人が行っていた作業を自動化できました。

導入により得られた効果と今後の展望

従来24名で担っていた漏えい検査業務が、レーザー分光式検知器と専用ナビゲーションシステムの導入により9名で行うことが可能となり、検査前後の事務作業も大幅に削減されました。

今後も大阪ガスネットワーク株式会社さまでは、ガス業界をはじめとする同様の検査業務の更なる改革に向けて、取り組みを続けられます。