MAPPLE法務局地図ビューアで見つけた気になる筆
マップルラボで公開している MAPPLE 法務局地図ビューア。全国の登記所備付地図データをマップルのベクトルタイル上に地図展開し、筆(土地)情報や形状を確認することができます。今回、MAPPLE 法務局地図ビューア(地図)を使って全国で見つけた気になる筆とその土地にまつわる話を紹介します。
◆No.61 識名霊園(沖縄県)~お墓の筆から風習や慣習が見えてくる~
沖縄のお墓は、一基ごとに広い敷地を持つことが特徴です。沖縄県那覇市にある識名霊園では、細かく区分けされた筆(土地)を確認することができます。空中写真で見ると、筆(土地)は一基ごとに設定されていることがわかります。沖縄県内のお墓の筆(土地)も同様に大きな筆(土地)になっています。
識名霊園の筆(土地)
なぜ、筆(土地)に反映されるほど沖縄のお墓の敷地は広いのでしょうか。その理由はいくつかあるようですが、沖縄の風習や慣習が関係しているとされています。かつて沖縄には「風葬」という風習がありました。風葬とは、亡くなった人を自然に風化させた後に納骨する方法であり、この風化をするためにある程度の広さが必要だったとされています。また、「門中制度」と呼ばれる慣習もありました。門中とは父方の血族で繋がる一族のことを指し、父方直系の血族が一族の長としてさまざまな決まり事を継承するものです。この門中制度の中で、一族が共用する「門中墓」を作る慣習があったため、お墓が大きくなったと言われています。
一基に一つの筆(土地)が設定されている
それ以外にも、沖縄では先祖の供養のための伝統的な祭事に親族が集まり、お墓の掃除を行った後、墓前で賑やかに食事を楽しむため、広い敷地が必要だったという話があります。また、台風や強風などに見舞われることが多い沖縄では、激しい雨風に耐えるために、お墓の土台や屋根を頑丈に造る必要があり、広い敷地が必要になったという説もあります。このように、沖縄のお墓の筆(土地)からは、沖縄の風習や慣習、さらには気候といったさまざまな背景が見えてきます。
沖縄県で見られるお墓
出典:
国土地理院撮影の空中写真(2023年撮影)
「登記所備付データ」(法務省)を加工して作成
「地図の雑学」
「地図の雑学」は地図技術者・地図編集者が「地図の制作にまつわる話」や「地図を使った楽しみ方」を紹介するコーナーです。
> これまでの記事一覧はこちら