コラム

通学路安全管理のための協働活動において、マップルにできること。

今年の6月、千葉県八街市において下校中の児童の列にトラックが突っ込み、5名が死傷する痛ましい事故が発生しました。これを機に改めて、文部科学省から各都道府県に対し、「通学路における合同点検の実施について」の依頼が出されました。この依頼では児童の安全確保のためには学校教育機関だけでなく、地域全体との協働が重要とされています。今回は、通学路安全管理のための協働活動において、マップルにできること。をテーマにお送りします。

 

なぜ地域全体との協働が重要とされるか

人口減少や高齢化社会の到来は様々な面で大きな影響を及ぼす要因となっていますが、通学路の安全管理においても例外ではありません。
通学路の安全パトロールや見守り活動の多くは、地域ボランティアによって担われていますが、このような地域ボランティアにも高齢化の波が押し寄せ、担い手が徐々に減っています。また将来的には、人口減少にともなう自治体の税収減などにより、従来実施されていた様々な行政支援が縮小される懸念も考えられます。
このような状況下で子供の安全を確保するためには、より一層、地域が一丸となって「協働での通学路安全対策」を意識していくことが必要です。

【令和3年10月1日現在(概算値)】<総人口>1億2512万人で,前年同月に比べ減少 ▲59万人(▲0.47%)グラフ出典:総務省統計局|人口推計(令和3年(2021年)5月平成27年国勢調査を基準とする推計値,令和3年(2021年)10月概算値) (2021年10月20日公表)https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html より

出典:総務省統計局|統計トピックスNo.128 我が国のこどもの数 -「こどもの日」にちなんで-(https://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topi1281.html#a-1 )

そんな中でも、省庁や自治体・教育機関の啓蒙活動もあり、通学路安全確保における地域全体との協働はさまざまな方面で実現しています。いくつか具体的な事例を見てみたいと思います。

通学路安全確保における地域協働事例

緊急時に子供が避難出来るこども110番の家などは、様々な地域で設置が増えていますが、この他にも、各地域で自治体、教育委員会や関係機関および地域と協働した「通学路の安全点検や安全確保を図る」活動は積極的に行われています。

■郵便局と連携した見守り活動
塩竃市教育委員会と塩竃市内11郵便局が見守り活動の協定を締結し、郵便局員による見守り活動が行われています。集配業務時などにもステッカーを貼ったバイクや自動車が「ながら見守り」を行うことで、事件や事故を未然に防ぎ、児童が安心して通学出来る環境を構築しています。
出典:塩竈市役所|未来を創る「塩竈市教育委員会News」2018年12月号|https://www.city.shiogama.miyagi.jp/soshiki/36/4391.html

■中学生や大学生の見守りへの参加
宮城県白石市では「PSCパトロール」という中学生と警察署が共同で防犯活動を行う団体を作り、協力して見守り活動にあたっています。また京都市御室小学校では大学生や大学院生なども見守り活動に参加し、これまでの地域ボランティアのみならず、地域の人々が協力して安全を守る環境を作り上げています。
出典:宮城県防犯協会連合会|http://www.miyagi-kenbouren.com/blog/7914.html

このような取り組みは、全国各地で広がってきており、地域が一体となった取り組みは今後も加速していくと思われます。

学校単位での活動事例

茨城県守谷市の小学校では、マップルの地図ソフト「スーパーマップル・デジタル」を活用した通学路安全対策を実施しています。地図上に児童の自宅位置と通学路を表示し、一人通学など通学途上のリスクの高い児童への学校対応強化や安全指導、さらには110番の家の設置など地域ぐるみの安全活動に役立てられています。
※詳しくはインタビュー記事をご覧ください|登下校時、不審者から生徒の安全を守る!現役副校長が知ってほしい 昭文社のオフライン地図ソフト「スーパーマップル・デジタル(SMD)」の通学路防犯活用
https://www.mapple.co.jp/blog/6971/

対策を講じるために

今年の7月に改めて文部科学省から通学路の安全点検実施依頼※が出されたこともあり、全国各自治体で通学路の危険箇所などを洗い出す合同点検が実施されています。
※参考:文部科学省|通学路における合同点検の実施について(依頼)https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1417907_00001.htm
合同点検後には、報告内容に基づいて様々な対策が行われることになります。例えば、ガードレールや横断歩道の設置などは、優先順位を付けながら着実に対策していく必要がありますし、ヒヤリマップの作成や地域ぐるみでの安全管理意識の強化なども必要だったりします。
千葉県と千葉市では、夏に実施した通学路の緊急点検で危険箇所と指摘された約4,000箇所に対して通学路変更やガードレール設置など、対策案を2021年11月19日に発表しました。
その中で、主な対策として道路管理者による歩行空間の分離・拡大、警察による信号機新設・改良やゾーン30の新設などといったインフラ整備だけでなく、市区町村教育委員会や学校関係者による見守り活動強化や通学路変更、警察による交通指導取締り・街頭監視といった安全管理意識の強化が挙げられています。
出典:千葉県教育委員会|小学校の通学路の緊急一斉点検後の対策について(報道発表 令和3年11月19日)
https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/anzen/koutsuuannzenn/koutsuuannzenn.html#tugakuro0819
このように、通学路の安全対策は単年度で完結するものではなく、継続してPDCAサイクルを回し続けていくものなのです。

継続してPDCAサイクルを回して成果を生み出すためには、危険個所の情報をどう収集して、どう管理して、どのような形で学校、警察、PTA、地域ボランティアの方々と共有していくのか、といった地域全体との協働をより効果的に行うことも重要です。身近なものだと、自治体による地域の治安情報配信などは、住民からの通報(情報提供)→警察への報告(情報収集)→地域への配信(共有)という流れで成り立っており、 地域全体との協働 と言えます。
PDCAサイクルを回し続けていくためにまず必要な情報収集に関しては、2020年のインターネット利用率83.4%※とデジタル活用が進んでいる現在、情報収集や発信に関する量もスピードも昔より格段にレベルアップしており、情報の伝達も容易になっています。教育現場でも連絡事項がメールやSNS、プリントはPDFになるなど、デジタル化が進んでいます。
※出典:総務省|令和3年版情報通信白書>第1章デジタル化の現状と課題>第1節国民生活におけるデジタル活用の現状と課題|https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/pdf/index.html

通学路の合同点検のタイミングだけでなく、こうした日常的に集まってくる情報も安全管理に役立てていく必要があります。集まってくる情報を安全管理に役立てていくには、どのような方法が有効になるのでしょうか。

マップルにできること。

マップルでは、通学路の安全管理をよりスムーズに行っていただくために「通学路安全支援システム」という製品を提供しています。
「通学路安全支援システム」は、生徒の自宅位置と通学路の一斉点検時や日々の危険箇所情報など様々な情報を地図上で可視化することができるソフトウェアです。
地図上に情報を配置することで、文字で見るだけよりも”どこに何が不足しているか”を俯瞰して見ることができ、横断歩道やガードレールの設置、こども110番の家の設置といった、事件・事故を未然に防ぐ対応・対策に役立ちます。

【図】通学路安全支援システムでの点検箇所表示例。テキストだけでなく現場画像も登録することができる。

また、地図上に表示される情報は登録内容に応じて切り替えることができます。
表示切替が役立つ場面の例として、こども110番の家の配置確認があります。こども110番の家は通学路において児童が安心して助けを求められる場所として、また表札が玄関等にあることで犯罪の予防策にもなると考えられます。これも、地域全体との協働の一部です。
通学路安全支援システム」で児童の自宅、通学路、こども110番の家を選択・表示し、配置確認することで、不足箇所の把握を可能にし、設置依頼活動において、重点的に対策を講じるべきエリアを認識することができます。
さらに、登録情報は、パソコンの画面上で見るだけでなくファイル出力(CSV,EXCEL)、地図画面の印刷も可能です。紙ならA4サイズ✕8枚の大判にして校内に掲示するなどの情報共有に役立ちますし、ファイル形式であれば通学路点検結果の報告書作成において業務効率化を実現します。

【校内での掲示例】登下校時、不審者から生徒の安全を守る!現役副校長が知ってほしい 昭文社のオフライン地図ソフト「スーパーマップル・デジタル(SMD)」の通学路防犯活用|https://www.mapple.co.jp/blog/6971/ より

このように、システム上でしっかり情報を管理していくことで、地域ぐるみでの通学路安全対策をより効果的にします。
通学が日常であるように、安全管理も日常のものです。
前述の 通学路安全確保における地域協働事例 にあるように、こどもの安全を守る活動は日々行われています。
マップルは「通学路安全支援システム」で「地図」で、協働活動に貢献していきます。


関連製品

「通学路安全支援システム」
学校現場のみならずPTAや保護者を含む地域全体で通学路の安全確保、管理を支援するために。

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