コラム

はたらく車の業務改善に「業務用カーナビSDK」

マップルの業務用ナビは、車載用カーナビとしても採用実績のあるマップルナビをベースに業務利用に特化したSDKとして、様々な業務システムとの連携が進んでいる。今回は開発現場の責任者として仕様全般のマネジメントを行った当社事業本部長の吉橋に話を聞いた。

 目次 

業務用に特化したカーナビを開発したきっかけは?
製品名のネーミングの由来を教えてください。
業務アプリとは具体的にどのようなものでしょうか?
「業務用カーナビSDK」の機能概要を教えてください。
どのようなお客様の利用を想定していますか?
お客様にとって具体的にどのような効果が見込めますか?
お客様の具体的な活用例を教えてください。
これまでに行った機能拡張の内容を教えてください。
最後に今後の方向性などを聞かせてください。


業務用に特化したカーナビを開発したきっかけは?
当社がカーナビにかかわった歴史は古く、1981年に世界初の地図型カーナビゲーション「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」に地図の提供をしておりました。その後一時期はカーナビからは離れていたものの、2007年からコンシューマー向けカーナビ製品「マップルナビ」を開発し、クラリオン株式会社様、株式会社ユピテル様にご採用いただいています。
今やカーナビは車にはあってあたりまえ、カーナビを搭載しない車は街中で見かけなくなりつつあります。カーナビがないと運転ができないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
一方では業務で利用される車両にはカーナビがなかったり、普通のカーナビがついているため操作が大変なことがあります。特に業務では不慣れな場所に行くことが多く、カーナビの利用が求められますが、業務に特化したカーナビがあればより便利に使え、業務改善の可能性があると考えました。そのような業務に特化したカーナビを簡単に開発ができるのが「業務用カーナビSDK」です。

製品名のネーミングの由来を教えてください。
業務用カーナビは「マップルナビ」をもとに様々なAPIを追加し、プログラムから操作できるようにしています。そのため、商品名を「マップルナビSDK」などの名前にする案もありましたが、あえて「業務用カーナビSDK」としました。
この商品が使われる場面ではカーナビは主役ではなく、業務アプリが主役であるためです。
お客様のアプリに組み込み、お客様のアプリ名称、製品名で呼んでいただければと思います。

業務アプリとは具体的にどのようなものでしょうか?
業務を行う際に利用されるアプリケーション(システム、ソフトウエア)のことです。
特に「業務用カーナビSDK」は車両内で利用される業務アプリケーションに組み込むことを想定しています。
例えばタクシーでは、従来、お客様からの迎車依頼をうけたのち、無線で配車可能な車両に口頭、もしくは文字で向かう場所の指示を行っていました。その場合、場所を正確に把握するためのやりとりが発生し、またカーナビ側での目的地の設定も必要になりますので、実際に現地に向かうまでにタイムロスが発生していました。
この配車業務に「業務用カーナビSDK」を組み合わせて利用していただくことで、配車可能な車両にカーナビの目的地として、ピンポイントで向かう場所を指示することができますので、これまでよりも圧倒的にスピーディーな配車が実現出来るようになります。
業界毎、会社毎に業務の内容は様々あると思いますが、このように業務システムと「業務用カーナビSDK」を組み合わせると様々な点で業務の効率化を図ることができます。

業務用カーナビSDK」の機能概要を教えてください。
業務用カーナビと言いましても、カーナビの基本機能としては皆さんが日頃車の中で見る普通のカーナビと同じ機能を持たせています。
そして普通のカーナビにプラスして「業務用カーナビSDK」のAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)をご用意しています。このAPIを利用してカーナビをカスタマイズしていただくことが可能になります。
単純なAPIでは地図の表示位置を変更するもの、目的地を渡してルート案内を開始するものなどが用意されています。これらAPIを利用すると極端な話、運転手が端末を触らずルート案内を始めるというようなナビを作ることが可能です。
そのほかにも、地図上に線や面情報や独自のアイコンを表示し、業務で利用する情報を表示することや、現在走行中の道路の情報などを取得し、プログラムの中で利用していただくことも可能です。また、現在位置をクラウドに上げて事務所で走行位置をリアルタイムに確認するなどのシステムを構築することも可能です。
業務用カーナビSDK」には数多くのAPIが用意されており、その豊富なAPIを説明する仕様書とともにソースコード付きのサンプルアプリケーションもご提供しています。プログラムを開発する方であればカーナビの細かい挙動を理解しておらずとも、カーナビ機能を作ることができるものになっています。

どのようなお客様の利用を想定していますか?
日本には様々な仕事があり、仕事で利用されるはたらく車があります。
「バス」「タクシー」「レンタカー」「カーシェア」「インフラ点検」「ごみ収集」「産業廃棄物」「訪問介護」「荷物配送」などなど。どのような業務でも運転をするという行為は変わりありませんので、車で利用するシステム全般で「業務用カーナビSDK」はお役に立てると思います。特に不慣れな人が運転する、不慣れな土地へ行く機会が多い、人の入れ替わりが多い業務で利用していただけると思います。
また「警備車両」や「現金輸送車」など緊急性がある業務、正確性が求められる業務での利用や、「特殊車両」など通行する道路が普通のナビでは案内できないもので利用してほしいと考えています。

お客様にとって具体的にどのような効果が見込めますか?
例えば、目的地に到着した場合、カーナビ上で必要な業務作業を表示、業務作業が完了したときカーナビ上で完了とすることで、次の目的地に自動的に案内を開始する。といったアプリが簡単に実現でき、業務の効率化に寄与できます。
また、あらかじめ決められた経路に沿って道案内できる機能を利用することで、計画通りの運航を行うことができ事故防止にもつながります。
業務用カーナビSDK」はAndroidやWindowsのコンポーネントとして提供しますので、AndroidタブレットやWindowsタブレットで動作します。現在タブレットで運用している業務アプリがあれば、そのアプリにカーナビ機能を追加することができます。
※画像は  西日本ジェイアールバス株式会社さまCASE STUDYより。

お客様の具体的な活用例を教えてください。
例をあげますと、新潟通信機株式会社様の開発する「生コン車両運行管理システム」に「業務用カーナビSDK」を搭載していただきました。
車両位置や到着予想時間を「業務用カーナビSDK」の走行中の自車情報を取得するAPIを利用して取得しシステムとの連携や、決められたルートでの車両誘導を「業務用カーナビSDK」の緯度経度点列をもとに案内可能なルートを作成するAPIを利用し、生コン(ミキサー)車両での業務に特化したカーナビを開発していただいています。
新潟通信機様のCASE STUDYは下記に詳しく書かれていますので、ご覧ください。
https://mapple.com/casestudy/niigata-t/

これまでに行った機能拡張の内容を教えてください。
お客様との商談の中で、保有しない機能のご要望をいただくこともあります。特にルート探索のご要望は多く弊社でも力を入れています。最近では最大200地点を巡回する効率の良い訪問順番を探索する機能を追加しました。配送や送迎などに利用していただくシステムに組み込むことで、ベテランの勘に頼っていた経路作成に変えて便利にご利用いただけると思います。
また、走行経路を模した緯度経度点列をもとに案内可能なルートを作成する機能を追加しました。路線バスやごみ収集車、道路の走行調査など決まった経路を走行する必要のある車両に対して、新人ドライバーをサポートします
他にもご要望いただき実現している機能はたくさんあります。様々な事情で難しいご要望もありますが、できる限りご要望に応えるべく、バージョンアップを重ねています。

最後に今後の方向性などを聞かせてください。
次期バージョンでは、お客様よりご要望の多い、高さ、幅、重量等を加味したルート探索機能の追加を検討しています。これにより、背の高い車などで高架下の通行ができない場所を考慮したルートを引くことができ、今までよりいっそう利用の場が広がるカーナビSDKになるのではないかと考えています。
今後も、お客様から業務の課題等、お話を聞かせていただきながら新しい機能の開発や、利用の仕方の提案をしてまいりますので、是非、様々な業務において「業務用カーナビSDK」をご活用いただればと思っています。



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データの企画からナビゲーションソフトウェアの開発まで行います。
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